2021年介護報酬改定に伴い「リハビリテーション・個別機能訓練、栄養管理及び口腔管理の実施に関する基本的な考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について(介護保険最新情報vol.936)」にある通り、新しい書式(様式例)ができました。
新しい栄養ケア計画書の書式をみて驚きました。なんと!利用者または家族のサイン欄がなく、「説明日」だけしか書かれていないのです。
書式からサイン欄が抜けているということは、サインは不要になったのでしょうか。
今回は、私が解釈した内容をお伝えしようと思います。
本当にサインは不要なのか、同意はどのようにとればいいのか
新しい書式が発表されたものの、栄養ケア計画書にサインをもらわなくても良いというQ&Aは出ていません。
にもかかわらず「栄養ケア計画を入所(院)者又は家族に分かりやすく説明し、同意を得る。」の文言はそのままです。
よって、必ず同意を得る必要はあるが、サイン欄は公式発表されている書式から抜けている、そんな状態です。
サインが不要ならサインをもらう業務なんて減らしたい。でも、口頭で同意をとった説明日だけの記入で良いのか、不安ですね…。
こう考えている管理栄養士さん、多いのではないでしょうか。
そこで、いろいろと資料を探してみました。
まず。サインや記録についての根拠資料を探していると「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準について(平成11年7月29日老企第22号厚生省老人保健福祉局企画課長通知)」を見つけました。
抜粋画像は次の通り。
栄養ケア計画書についてではないので、一概にこれに準じておけばいいとはいえませんが、参考になると思います。
文中にでてきている押印についてのQ&Aを一部引用し、抜粋しておきます。
文書の真正な成立は、相手方がこれを争わない場合には、基本的に問題とならない。また、相手方がこれを争い、押印による民訴法第 228 条第4項の推定が及ばない場合でも、文書の成立の真正は、本人による押印の有無のみで判断されるものではなく、文書の成立経緯を裏付ける資料など、証拠全般に照らし、裁判所の自由心証により判断される。
押印のある文書について、相手方がその成立の真正を争った場合 は、通常、その押印が本人の意思に基づいて行われたという事実 を証明することになる。
まとめると、電磁的方法でサインをもらっておけば良いけれど、メールなどを残しておきましょう、ということが書いてあります。そして、押印が無い文書について、本人による押印の有無のみで判断することはない一方、押印があっても相手方がその成立の真正を争った場合 は、通常、その押印が本人の意思に基づいて行われたという事実 を証明しないといけない、ということが書いてあります。
厚生労働省が正式に発表するまで、サインはもらっておくほうが無難
正式なQ&Aが出ていない以上、イチ管理栄養士がサインは不要ということは言えません。
先ほどの根拠資料を読むと、「厚生労働省はメールか何か証拠を残しておくべき、押印についてのQAはサインがあっても、本人の意思に基づいていることの証明が必要」と言っていると解釈できます。
え?サインがあっても「本人の意思に基づいていることの証明が必要」……って……?と少し疑問に思う部分もありますが、従来通り、栄養ケア計画書についてはサインをもらっておくほうが無難なのではないでしょうか。
いずれ、Q&Aが出るのではないかと思います。
また、Q&Aが出なかった場合、いずれ実地指導があるでしょうから、その時に担当者に質問してみると良いと思います。
今すぐ、確実に答えを出しておきたいのであれば、施設を管轄している自治体にメールや文書などで問い合わせをしておくと良いでしょう。
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