2021年度介護報酬改定について現役管理栄養士が準備したいと思っていること

2021年4月より、介護報酬が改定になります。これは、介護保険施設で働いている人は、職種問わず押さえておかなければならない事項です。

今回の記事では、介護施設で働いている管理栄養士である私が、特に抑えておきたいポイントを、第199回社会保障審議会介護給付費分科会の資料よりピックアップして、これから準備していくべきことを整理してみました。

実際の運用については、これまでも色々加算について書いてきたように、「実施されてから」更新していきたいと考えていますが、現状、「制度と報酬」が厚生労働省より発表されているため、それについての大まかな要件と、私の考えをお話します。

栄養マネジメント関連(介護保険施設関係)

栄養マネジメント関係で大きなトピックスは

  • 栄養マネジメント加算の廃止
  • 低栄養リスク改善加算の廃止
  • 栄養マネジメント強化加算の親切

の3つです。

栄養マネジメント加算の廃止

これまで、管理栄養士が栄養ケア計画を作成した場合、1日あたり14単位の評価がされていましたが、栄養マネジメント加算が廃止されます。

その変わり、その報酬は「基本報酬」にまるめられ、管理栄養士が栄養ケアを行わなかった場合、14単位の減算という評価に変更になりました。

Nさん
Nさん

管理栄養士が栄養ケア計画を作成し、定期的に栄養評価することが「当然」となっていることからこうなったみたいですね。これまで、栄養マネジメント加算を算定していた施設、つまり栄養ケア計画を管理栄養士がしっかり立てていた施設の管理栄養士さんの業務内容は、実質変わらないでしょう。

栄養マネジメント加算については、こちらの記事で詳しく書いています。

低栄養リスク改善加算の廃止

低栄養リスク改善加算は、「新規入所時」に低栄養高リスクの利用者様に対し、1か月300単位算定できていた加算です。これが、廃止されます。

次に紹介する「栄養マネジメント強化加算」に姿が変わるようです。

低栄養リスク改善加算については、こちらで詳しく解説しています。

栄養マネジメント強化加算

栄養マネジメント強化加算は、利用者1名に対し1日11単位を算定できる新しい加算です。

算定要件は

・管理栄養士を「ベッド数÷50」給食業務を行っている場合は「ベッド数÷70」以上配置していること

・高リスク者に対し、週3日食事観察を行うこと

・低栄養リスクが低い利用者に対しても、問題がある場合は早急に対応すること

・CHASEへのデータ提出(CHASEはこれから本格稼働するであろう国のデータベース)

栄養マネジメント加算からの流れをみると、管理栄養士を1名配置して栄養ケアを行うことは「当たり前」。強化したら「報酬を」という流れのようですね。

ただ、1つ矛盾を感じる部分としては、ベッド数が70の施設で、「給食業務を委託している場合」管理栄養士が1.4人以上配置されていないと算定できない加算で、「給食業務を直営でしているなら」1名の配置で算定していいよというところ。給食直営の管理栄養士のほうが、1名あたりの業務負担が大きくても良いというのはいかがなものか?逆じゃないか…?という個人的な疑問が残ります。

Nさん
Nさん

100床で厨房を委託している場合、管理栄養士を2名配置しなければ、算定できない加算です。100床の場合おおよそ33万円程度の増収ですが、管理栄養士の人件費、法定福利費、ボーナスなどを考慮すると、1名新規採用ができるほどの報酬ではないなというのが私の試算です。

計画書の一体化

計画書作成や多職種会議において、栄養専門職の関与の明確化がされます。

これまでも、サービス担当者会議等の出席はしていたと思いますが、より「強制力」が働くようなニュアンスになると解釈できるでしょう。

まだフォーマットは公表されていないようですが、これまで、栄養ケア計画書、リハビリ計画書、ケアマネの計画書……など、複数あった書類を一体的に記入できるような様式を作成中のようです。

褥瘡マネジメント加算への明記

褥瘡マネジメント加算の算定要件へ、管理栄養士の名称が「明記され」ます。管理栄養士を配置している施設では、褥瘡対策チームに管理栄養士が入っていると思うので、実質的な業務はこれまでと変わらないのではないかな?と思っています。

通所関連の栄養についての加算

これまで、通所サービスに対してはあまり大きな評価がされていなかった栄養関連の加算について、評価される内容が大幅に増えました。

既存の加算の点数が増えたり、新しい加算が増えたりしています。特に1名配置の管理栄養士で、増員が望めない施設の管理栄養士(先ほどの栄養マネジメント強化加算がとれない施設)は通所での活躍の場は「経営側がノーコスト」で取り組みをしてほしいと考える(であろう)加算が増えているので、要チェックです。

口腔・栄養スクリーニング加算

栄養スクリーニング加算を6か月に1回5単位算定できたものが、口腔についてのスクリーニングを同時に行った場合に、「20単位」算定できるようになりました。なお、栄養のみ、口腔のみの評価の場合は、5単位のみ算定できるようです。

栄養アセスメント加算

栄養アセスメント加算はこのたび新設された加算です。1回50単位を月2回まで算定できます。


上記の口腔・栄養スクリーニング加算との同時算定はできないとされていますが、
・(外部でもいい・つまり委託でもいい)管理栄養士が1名配置されていること
・多職種が共同して栄養アセスメントを実施し、家族に対してその結果を説明して、必要に応じ相談等を行う
・利用者ごとの栄養管理についての情報をCHASEへフィードバックすること。

CHASEへのフィードバック業務がどのようになるのか不明確ですが、通所に対してサービスを実施した場合の評価が大きくなるようです。

これに加えて、栄養改善加算の算定点数が150単位⇒200単位に上がりました。

栄養改善加算

栄養改善加算は月2回まで、1回200単位算定できる加算です。

・上記の「栄養アセスメント加算」に加え、「利用者の居宅を訪問した場合」に算定が可能になります。

Nさん
Nさん

利用者様にとっての「かかりつけ管理栄養士さん」が通っているデイサービスの管理栄養士さんになる、というような改定ですね。現場にいる私としては、①自分の施設では週数回の昼ごはんしか食べない②主治医の指示を直接受けられないの2点から、少し不安な制度だなという印象です。

一方、「居宅へ訪問して支援することが当然」となっている多職種と同じくらい、「管理栄養士の対人援助」業務が増える改定であると思います。

情報としては「訪問して活躍している管理栄養士」さんのことは知っていますが、実際に施設の利用者様から「家に管理栄養士が来てくれてていた」という話を聞いたことは、残念ながらありません。管理栄養士が居宅を訪問して栄養指導を行うという環境に対する間口が広がるきっかけになるのかな、と持っています。

認知症グループホームに対する加算(栄養管理体制加算)

グループホームには管理栄養士が配置されていませんが、管理栄養士が日常的な栄養ケアにかかわる介護職員への助言や指導を行った場合に30単位/月の加算が算定できるようになりました。

これは新設の加算で、詳細があまり書かれていないので、どのような業務に対して報酬が出るのか不明確ですが、大きな法人で系列にグループホームがあるような場合、法人内の管理栄養士の活動の場が広がるのかなと思います。

管理栄養士として、介護報酬改定2021に向けて準備したいこと

施設管理栄養士として、今回の改訂に向けて準備しておきたいことは

介護報酬改定2021に向けての準備

①通所サービスの利用者様の情報を見て、どのようなサービスを実施できるかイメージしておく

② ①を実施した場合、居宅訪問系の管理栄養士さんの行っている勉強会や書籍で勉強をしておく

③自分自身が「入所者さんの栄養管理を行うこと」がメインの仕事ではなくなる、という認識を持つ

④栄養マネジメント強化加算算定のための増員には、どの程度の増収およびコストカットが必要なのか試算し、経営サイドに相談してみる

の4つです。

経口維持加算や移行加算、再入所時栄養連携加算関係は、現行と同じなので、摂食嚥下に対して施設ないで行う業務は、現状維持になります。さらに、こういった取り組みをしている管理栄養士さんは、当然栄養マネジメント加算は算定してきているため、施設内で行っている栄養ケアの内容を急いで帰る必要はないはずです。

むしろ、自分ひとりで栄養マネジメント強化加算に必要な業務もできるのに、もう1名配置されないがために、その加算をとれないということの方が課題となるでしょう。

また、今回は通所系の利用者に対して、評価されるサービスの内容が増えています。施設入所・入居と異なり、「居宅ケアマネと連携しながら」でないと、必要な利用者様にサービスを提供できないため、管理栄養士が介護保険制度について詳しくなければ、利用者および居宅ケアマネに営業ができないな、と思うところもあります。

増設された加算は、「利用者様にサービスを提供し、利用者様に良いサービスを提供する」ことが大前提ですが、専門職が活用していなければ、廃れてしまいます。管理栄養士は施設での配置人数が極めて少ない職種です。自分で制度を勉強し、業務内容を変更したい、人を増やしてほしいなどの交渉を、上手に行っていきたいですね。

主に「加算」「コスト」についてお話してきた本記事。利用者様に良い介護サービスを提供することは私たちにとって最重要のお仕事です。しかし、「報酬がないサービス」「赤字サービス」は提供できません。制度を上手く活用して、良いサービスを提供できる環境を自分たちの手で作っていきましょう。

第199回社会保障審議会介護給付費分科会は、ぜひ、原文、公式の資料を読んでみてくださいね。

コメント

タイトルとURLをコピーしました