栄養ケア計画書、特養や老健で使える記入例

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加算と書類

2021年度より、介護施設では(特養や老健では)栄養ケアマネジメントを行うことが、義務のようになりました。やらなければ減算です。

今回の記事は、

事務所のえらいさん
事務所のえらいさん

施設の管理栄養士が辞めちゃった。引継ぎなしてくる人は未経験。せめてどんな書類を作ってもらわないといけないのかくらいは、事務サイドとしても把握しておきたい。

という人に向けて、管理栄養士が作っている栄養ケア計画書ってこんな書類ですということを、実物を見せながら説明したいと思います。

Nさん
Nさん

また、施設管理栄養士はひとりで働いていて、なかなか他人の書いた栄養ケア計画書を見ることはないですよね。言い回しとか参考になればうれしいです。私もボキャブラリー増やしたい…。

栄養ケア計画書ってどんな書類?

栄養ケア計画書ってどんな書類なのかは、こちらの記事で詳しく書いていますが…

簡単に言うと、栄養ケアを実施するにあたり、必要な情報をまとめたものです。

栄養ケア計画書に書くこと

1.基本事項
2.利用者と家族の意向
3.解決すべき課題と低栄養リスク
4.短期目標と長期目標
5.ケアの内容
6.(利用者および家族の同意サイン)

特養や老健で使える栄養ケア計画書の記入例

では、次のケースを私ならどう記入するか、記入例をご紹介します。

ケース

氏名:A西A太郎 1930年5月5日生まれ 

S(本人の意向や訴え):リハビリをして家に帰りたい。家に帰ったら、家族の作るごはんが楽しみ。食事に対するこだわりはないけど、可能であれば、朝はパンが食べたい。

O(情報):2021年3月5日入所。身長160cm、体重50kg(3か月間変動なし)、BMI19.5、提供エネルギー量1500kcal 食事は完食されている、血清アルブミン値3.2g/dL、食事形態:米飯普通(3/14に朝はパンの希望があったため食事変更実施)、治療食:なし、嗜好への対応:なし、補助食品の利用:なし、嚥下調整食:提供なし、水分とろみ:なし

A/P(アセスメント・プラン):低栄養リスク中と判定、現状維持を目標に栄養管理を行う。

Nさん
Nさん

食事環境に問題がない人の計画書ほど、書きにくいので、あえてよくあるケースにしてみました。

このケースの入所3か月目の栄養ケア計画書
栄養ケア計画書の記入例

次に、各項目を詳しくお話ししていきます。

栄養ケア計画書の基本事項~長期目標の記入例

先ほどの栄養ケア計画書の一部分を抜き取ってきました。

ポイント

①利用者の意向は、できるだけ丁寧に書く

②解決するべき課題は、低栄養リスクと、リスクを判定した理由を書く

③長期目標は退所までに達成したい目標を書く

この利用者の場合、意向でしっかりと「今の食事に不満はない」「朝はパンが食べたい」と食事の意向についても発言されているため、それを記入します。食事環境に課題がない場合の栄養ケア計画書は、ついコピペになりがちですが、利用者とコミュニケーションがとれていれば、個別性のある書類が作れますよ。

特に、管理栄養士の深い介入が必要なさそうなケースでは、意向に「在宅復帰を希望している」の一文だけ書いてしまうこともありますが、それだけではコピペ計画書を作っただけになってしまいます……。

Nさん
Nさん

私は厳しい実地指導の監査員の指導を受けた際に、「低リスク」と「中リスク」の計画書がほぼ同じなのはおかしいって指摘されたことがあるんですよ。管理栄養士としては、「食事環境に問題がない、血液検査の数値で中リスクになっただけなのに」って思いましたが……。

しかも、このケースだと、今の制度では「中リスク」です。血清アルブミン値3.2g/dL、しっかり1500kcal食べられている「90歳」なら、低栄養じゃなくない!?って言いたいところですが、制度上仕方ないんですよね。

解決するべき課題は、その人の課題を書きます。この場合は「食事摂取状況に課題はない」が「血液検査の結果で中リスク」なので、そう書きます。

長期目標は、6か月程度で達成するべき目標を書きます。特に目標がない(現状維持でいい)低リスク者や、中リスクでも食事をしっかり食べられている場合は、「ADLの維持、フレイル・サルコペニアの予防」を書いています。「現状維持」の4文字だけにしても、問題はないと思うのですが、できるだけ具体的に書きます。

栄養ケア計画書の短期目標と具体的なケア内容の記入例

次に、短期目標と具体的なケアの内容です。

今回、この方は食事に対する課題はない方なので、誰にでも使える一般的な内容を書いてみました。

嚥下調整食や水分とろみが必要ない方の場合、「書いていない」だとよくわからないので、必要ない対応については、「なし」という文言を必ず入れています。

体重の管理についても、「毎月体重を確認します」だけではなく「介護士が体重を月1回測定し、看護師と管理栄養士が確定します」としておけば、多職種で連携して栄養ケアを行っていることを明文化できます。体重を測定して確認するって当たり前のことすぎて、わざわざ計画にすること?と思う方もいるかもしれませんが、行っているケアは微細なことでも書類に書くようにしましょう。

Nさん
Nさん

このようなケースの場合、短期目標こそ「現状維持」の4文字だけで済ましてしまうような気もしますが、「必要のないものは必要ないと書く」「体重測定のような習慣的なことも書く」「現状維持に必要な要素を数値で書く」等に気を付けています。

栄養ケア計画書の利用者への説明日(同意サイン)の記入例

新しい書式(介護報酬改定2021)では、「説明日」はあるけれど「サイン欄」はなくなっているんですよね。

2020年度現在の制度では、利用者または家族の同意サインが必須です。今後、説明日だけになれば、書類作成業務に対する負担は減りそうですね。

書類作成は「目的」じゃないけど「しっかり作る」ようにしましょう

栄養ケアの目的は、書類作成ではありません。2021年の介護報酬からはまるめになりますが、4,000円以上の値段がつけられているのが栄養ケアマネジメントというサービスです。

しかし、質のいい栄養ケアをしていても、ひとりひとりの意向を聞いて、低栄養リスクが高くない人に対して個別性のある食事サービスを提供していたとしても、「書類が完璧じゃないと形がみえない」という面もあります。

しかも、数年に1度の実地指導では「そこしか評価されない」という面もあるので、書類もちゃんと作れるようになりましょう。

また、事務職員(人事とか)の方は「管理栄養士はこの書類を入所者の数だけ、少なくとも3か月に1回は書いている」ことを把握しておいてください。管理栄養士を事務職員の1名としてカウントし、事務職員の仕事とか、送迎の手伝いをやらせている場合ではないのです……。私はそんな環境で働いていませんが、そういう職場も多いようです。もちろん、施設の一員なのである程度協力は必要だと思いますが…。

あと、最近はインターネットでもいろいろ調べられる時代になりましたが、書籍も持っておくと便利ですよ。

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