栄養マネジメント加算を算定するために必要な業務

介護施設業務

老健や特養で算定することができる栄養マネジメント加算。栄養マネジメント加算は、「栄養ケアマネジメント」を行った際に施設に支払われる報酬です。

管理栄養士の国家試験の勉強や、大学の授業でも「栄養ケアマネジメント」という言葉は学びますので、栄養ケアについては、しっかり勉強していけば問題なくクリアできると思います。

今回の記事では、現役老健管理栄養士が、監査でつっこまれないための栄養マネジメント加算算定のための業務を解説していきます!TwitterID:minipekotaやってるから、分かりにくいところがあれば直接聞いてもらってもいいですよ

介護保険施設では、栄養管理を適切に行うことと同じくらい、「介護保険のルールにのっとった」書類作成と家族様の同意をとっておくこと重要なことです。

Nさん
Nさん

素晴らしい栄養管理をしていても、加算返戻になったら、職場での自分の信頼もなくしてしまいます。管理栄養士は一人配置であることも多いので、自力で「美味しい給食、正しい栄養管理と、正しい書類作成のルール」を身に付けないといけません。

栄養マネジメント加算を算定できる施設と頂ける金額

栄養マネジメント加算を算定できる施設は次の通りです。

介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
介護老人保険施設
介護医療院
介護療養型医療施設
地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護(特別養護老人ホーム)

簡単に言うと、老健・特養・介護保険で運用している病院で算定できます。

栄養マネジメント加算の単位は、1人あたり、1日14単位です。なので、1人の管理栄養士が、1人の患者に対して1カ月栄養管理を行った場合、国からいただける報酬は、約4,256円です。(1単位10円として計算)そのため、100床であれば425,600円が施設の売り上げになるという概算ができます。

栄養マネジメント加算の算定要件

栄養マネジメント加算算定のための要件は次の通りです、概要部分だけ抜粋します。算定要件は施設の事務所に必ず置いている「介護報酬の解釈」(辞書みたいに大きい青い本)に書いていますので、そちらを確認してください。なお、ネットではこちらより栄養マネジメント加算についての要件が確認できます。老健協会のサイトにも国の規定の抜粋がありますので、こちらで確認しても良いですよ。

常勤の管理栄養士を1名以上配置すること
施設入所時に入所者の栄養状態を確認し、管理栄養士、医師、歯科医師、看護師、介護支援専門員、その他の職種の者が共一緒に、個別的に摂取、嚥下機能、食形態に配慮した栄養ケア計画を作成し、入所者・家族に説明し、同意を得ること
栄養ケア計画に基づき、個別的な栄養管理を行うと共に、入所者の栄養状態を定期的に記録すること
入所者毎の栄養ケア計画の進捗状況を定期的に評価し、必要に応じて計画の見直しを行うこと
定員超過利用減算、人員基準欠如減算による減算の基準に該当していないこと

上記はあくまでも栄養マネジメント加算算定のための要件の中の一部抜粋でしかありません。その他にも、栄養ケア計画を3カ月に1回見直さなければならない、とかリスクごとにスクリーニングを行うスケジュール管理をしなければならない、など細かいルールがありますので、次に解説していく業務についてのまとめで説明をしていきます。

栄養マネジメント加算算定にあたり行う業務

先ほど書いた要件にある通り、栄養マネジメント加算算定は「家族の同意」がないと算定開始をすることができません。

私の施設では、全利用者様に対し、入所日に家族の同意をもらい、入所日から栄養マネジメント加算を算定しています。そのため、「入所した日から栄養マネジメント加算を算定する」ことを前提に、業務内容を解説していきます。

栄養マネジメント加算算定にあたり行っている業務の流れは次の通りです。

1.入所時の栄養ケア計画(仮)を作成する⇒家族の同意を得る
2.入所したらすみやかに!栄養スクリーニングを行う
3.リスクごとにスクリーニング・アセスメント・モニタリング
(4.1か月後に栄養ケア計画(仮)が問題ないか見直す)
5.3か月後に栄養ケア計画計画を作成する

この項目では、5つの手順と使用している書類について説明していきます。なお、手順4に関しては私が自主的に行っているだけなので、行っていなくても実地指導で指摘を受けることはないと思います。

こちらより栄養マネジメント加算についての要件が確認できますので、こちらは必ず確認してください。老健協会のサイトでも良いでしょう。今回の業務解説は、この規定からでは連想しにくい業務の流れを整理したものです。

まずは書類の紹介、私は3種類使用しています!


まず初めに、作成する書類を紹介します。厚生労働からはこちらのフォーマットが正式に公表されています。この正式書類は、このままのフォーマットを使用しなさいという意味ではありません。ここで定められている項目が記入されていれば、使いやすいようにアレンジしてOKです。

私は、書類を以下の3つに分けています。

1、栄養ケア計画書
2、栄養スクリーニング・アセスメント・モニタリング書
3、栄養ケア経過記録(食事内容や提供理由など)

栄養ケア計画書はほとんどそのまま使っていますが、「栄養スクリーニング・アセスメント・モニタリング書」の「経過記録」の部分は、日々の細かい食事変更の記録を記入しているため、公式書類の通りではスペースが狭すぎることから、3つに分けることにしています。

1.入所時の栄養ケア計画(初回)を作成する⇒家族の同意を得る

入所が確定したら、栄養ケア計画書を作成し、入所日に本人または家族の同意を得ています。(初回)と付けた理由は、取り急ぎの事前情報で作った計画書であるためです。

この段階では利用者様を直接見ることができるケースはほぼありません。施設内には、利用者様が施設を利用するかしないかの判定を行っている部署が確実にありますので、その部署から情報を得ましょう。入所判定をしている職種(相談員やケアマネ、看護師などがこの役割を担っていることが多いです)が持っている事前情報でスクリーニングとアセスメントを行ってください。初回の栄養ケア計画書に記載する低栄養リスクを決める、というのが大きな目的です。

栄養ケア計画を作成するためにはスクリーニングが必要です。もちろん、項目の全てを把握することはできませんので、分かる情報のみで栄養スクリーニングを行います。

事前情報でスクリーニングを行ったら、栄養ケア計画書を作成します。私が初回の計画書に入れている情報は以下の通りです。

  1. 提供する主食と副食の食事形態・アレルギー情報・エネルギー量
  2. 事前情報で得ている栄養情報(身長体重BMI、食事摂取状況など)
  3. その他施設で全員に提供している栄養ケアに関すること(体重測定は毎月行います。安全にお食事をしていただけるように見守りを行います等)

初回の栄養ケア計画書にはこれくらいの情報しか書けませんので、これで家族の同意(サイン)をもらいます。スクリーニングで把握できていない項目もありますが、食事は入所当日から提供しますので、栄養ケアは入所当日から行っています。なので、施設で提供している食事の説明と今後の栄養管理の方針、事前情報と現状が大きく異なれば、すみやかに栄養ケア計画の変更を行い報告する旨を伝えるための書類として使っています。

初回の栄養ケア計画書では、必ず利用者または家族のサインと、同意を得た日付を記入してください。この同意を得た日付から加算を算定することができます。

Nさん
Nさん

規定では、入所したら「遅くとも一週間以内に」栄養スクリーニングを行うように書いてあります。ただ、一週間後では低栄養の方の栄養状態は悪化してしまうリスクがありますので、事前情報でスクリーニングを行っています。ここ、他職種連携ですね。入所前の情報を集めている部署と連携をとって行いましょう。


栄養ケア計画の詳しい書き方は別の記事で解説していますので、こちらの記事もぜひ参考にしてください。

2.入所日に栄養スクリーニングを行い、低栄養リスクを判定する

栄養マネジメント加算のためには、「栄養スクリーニングを行い、栄養ケア計画書を作成する」必要があります。入所前にスクリーニングを行っていますので、次の栄養ケア計見直しまで栄養スクリーニングの必要性はないという解釈もできますが、私は入所後、実際に利用者様をみて、再度スクリーニングを行っています。ここで、初回の低栄養リスクを確定させてください。

Nさん
Nさん

私の施設では午前中に入所する方が多いので、昼食時に必ずラウンドを行い、入所した日に身長体重を測定しているので、入所当日に実際に使用者をみて行ったスクリーニングをすることができます。午後入所のときは、おやつ時に必ず使用者様のご様子をみにいっています!

実は、こちらを詳しく読み込むと、事前情報でスクリーニングを行い栄養ケア計画書(初回)を作成することが少しグレーに見えなくもないと思います。が、私は数回実地指導を受けていて指摘されたことはありません。それはおそらく「入所当日に必ず栄養スクリーニング」を行っているからだと思います。入所前スクリーニングの情報で、3カ月後の見直しまで利用者様をみていません、となるとアウトだと思います。

入所前にも積極的に情報収集して栄養管理の方向性を決めているし、当日利用者様の状態もみさせていただいている。変更があればすぐに食事変更をして調整をかけているますので、むしろ規定より多くの手順でサービスをしているともとれますね。

3.リスクごとにスクリーニング・アセスメント・モニタリングを行う

次に、リスク事に栄養スクリーニング・アセスメント・モニタリング書を記録していきます。これは事務作業なので、フォーマットに基づいて記入していけばそんなに難しくはありません。ただし、低栄養リスクによってその頻度は異なります。

高リスクは2週間に1回(14日に1回)
中リスクは1カ月に1回
低リスクは3カ月に1回

栄養スクリーニング・アセスメント・モニタリングのやり方については別の記事で詳しく解説していきますので、そちらを参考にしてください。

栄養マネジメント加算算定のために「事務的に」間違えてはいけないのは頻度です。高リスクの方を1カ月放置していたり、中リスクの方を3カ月放置していたりすると、確実に実地指導で指導を受けます。また、「ちゃんと確認していてもその記録がなければ」実地指導では仕事をしていないのと同じと判断されてしまうこともあるので、確実に記録は残してくださいね。

介護士さん看護師さんの協力を得て体重は毎月測定してもらおう!

栄養マネジメント加算算定にあたり把握しておかなければならない項目に「体重」があります。これは、「毎月測定」しておかなければなりません。

管理栄養士が体重測定を行ってはいけないわけではないですが、現場の方の協力を得て体重測定をしてもらってください。

Nさん
Nさん

養成校で車いすへの移乗を習うこともない私たち管理栄養士が体重測定を行うことは、「危険」だと思っています。施設によっては管理栄養士が体重測定をしていることもあると思いますが、高齢者は転倒リスクもありますので、管理栄養士のみで行うことを私は「怖い」と思っています…。

4.1か月後に栄養ケア計画(初回)が問題ないか見直す

私は、1カ月後に栄養ケア計画(初回)から大きく変更があった利用者様の栄養ケア計画書を作成し、家族の同意とサインをいただいています。

というのも、栄養ケア計画は「ケアマネが作成するケアプランの栄養の部分を管理栄養士が専門的に作っている」というような位置づけです。(詳しくはこちらをみてください)

当施設ではケアマネのケアプランも入所時の初回ケアプランから1カ月後の本プランにしています。そのため、栄養ケア計画書も、初回に家族の同意を得たものから大きく変更があれば再作成を行っているのです。ここはケアマネの動きに合わせています。が、栄養ケア計画の見直しは3カ月に1回または変更があったとき、で良いとされていますので、必須の作業ではありません。

ただし、栄養ケア計画の変更があった、という表現は非常にあいまいなので、初心者さんはどれくらいの変更を変更ととらえていいのか分かりにくいですよね。

私は、

  • 低栄養リスクが変更になるくらい栄養状態に変化があった
  • 嚥下コードが変更になるくらいの状態変化があった

場合に栄養ケア計画書も新しいものを作成しています。ただし、「本人の嗜好」で「米飯を全粥に変更した」程度でコード4の嚥下食が必要になったような場合には、機能的な変化ではないので作成していません。

5.3か月ごとに栄養ケア計画計画を作成する

栄養ケア計画の見直しは3か月に1回行うことが、決められています。これは、制度で定められているため絶対です。

繰り返しますが、3か月ごとの再作成は必須です。やっていなければ、確実に実地指導で指摘されます。もしかしたら、最悪返戻をくらうかもしれません。

ルーティンとして行う作業は2つ

加算算定のために、入所後に行う業務の流れは、先に説明した通りです。上記の流れで書類を作成していけば、実地指導対策はバッチリでしょう。

利用者様が入所された後、ルーティンとして行うことは

  1. リスクごとの頻度に合わせた栄養スクリーニング・アセスメント・モニタリング
  2. 3カ月に1回の栄養ケア計画書の作成

の2つです。先の手順③と⑤にあたる部分。

入所後はこの2つをルーティンとして効率よく行えるようにしておけば、書類作成は捗ると思います。

栄養ケア計画に変更がない場合の対応

某栄養士の質問サイトでもたびたびあがっている質問事項として

栄養ケア計画に全く変更がない場合は、計画書を作る必要はありませんよね?

というものがあります。

実は、平成17年度に出たQ&A(厚生労働省が出している介護保険について多く問い合わされた内容についての回答)によると、「栄養ケア計画に変更がない場合は計画書にサインを求めなくていい」という回答が出ています。

これは、国からでている回答なので、間違いありません。回答は以下の通り。

1個別の高齢者の状況に合わせた栄養ケア・マネジメントを行うことから栄養ケア計画の策定に当たっては、利用者又は家族の同意を得ることは必要であると考えている

2.なお、栄養ケア計画は概ね3か月に1度の見直しを行う必要があるが、その際、当該計画に変更がない場合には、サインを求める必要はない。

某コミュニティサイトやSNS、地域の管理栄養士のネットワークの中で「変更がない場合は栄養ケア計画書を作らなくていい」という解釈で、この回答が引用されている場面をよく見かけます。

が、よく読んでみると、「サインを求める必要はない」だけで、「書類を作らなくていい」とは一言も書いていないんですね。

介護保険は、国のだけでなく、都道府県が管轄となりますので、管轄の都道府県のQ&Aや監査員が「変更がない場合は栄養ケア計画を作り直さなくていい」としていれば、再作成する必要はないでしょう。

ただし、全国的にそのような回答をされているわけではないので、計画に変更がない場合でも書類は再作成してくだしさい。

Nさん
Nさん

できれば変更がなくてもサインをもらっておくべき、というのが私の方針です。先ほども述べましたが「変更がない場合」ってどの程度のことを変更とするかの基準があいまいですよね。

1冊は書籍を持っておくと、勉強にもなる!

栄養マネジメント加算の算定方法については、上記にまとめた通りのことを実践しておけば、おそらく実地指導で返戻になるほど厳しい指導を受けることはないでしょう。

ただし、学校や国家試験で身に付けた知識と、栄養マネジメント加算の制度を知るだけでは、いい栄養ケアを行うことは難しいです。

そのため、書籍でも栄養ケアマネジメントについての知識をつけておくと良いでしょう。

私のおすすめは、こちらの本です。

栄養ケアマネジメントの書籍の多くは、「栄養ケアの中身」にフォーカスしすぎていて、あまり栄養マネジメント加算の制度と絡めて栄養ケアについて解説してくれる本がありません。

が、こちらの書籍は、栄養ケアマネジメントの事例も、栄養マネジメント加算の制度についても満遍なく紹介されているため、新米施設管理栄養士にさんには非常に役立つ書籍でしょう。

最後に

栄養マネジメント加算算定にあたり実施している業務についてまとめました。

今回は私がやっている業務をまとめましたが、こちらより栄養マネジメント加算についての要件が確認できますので、こちらは必ず確認してください。老健協会のサイトでも良いでしょう。

栄養マネジメント加算を算定するには、

①リスクごとの頻度別栄養スクリーニング・アセスメント・モニタリングを行う

②3カ月ごとの計画見直しをする

③家族の同意(サイン)を得る

の3点は管理栄養士の責任としてしっかり行ってくださいね。

分かりにくい部分とかもあると思いますので、TwitterでDMいただければ、分かる範囲でお答えします。Twitterでは、管理栄養士さんとたくさん絡みたいと思っていますので、フォローお待ちしています。

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