管理栄養士界隈が介護報酬改定2021で盛り上がっている理由

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加算と書類

栄養士会のトップページに「介護報酬改定」がどうどうと掲載され、病院と介護施設が併設しているところでは、病院の管理栄養士を一部介護系業務にまわしてほしいといわれているところがあるなど、介護報酬改定2021では「栄養」の話題が盛り上がっています。

しかし、これまで介護関連の仕事をしていない管理栄養士にとっては、イマイチ何が変わったのか、分かりにくいですよね。

今回のブログ記事では、病院や給食会社、保育園などで勤務する管理栄養士向けに、介護報酬改定で何が変わったのか、どうしてこんなに盛り上がっているのかを解説していきます。

Nさん
Nさん

介護関連の管理栄養士にとっては明るいニュースなので、少し思いが強めですが、お付き合いください。(笑)

2021年介護報酬改定前の栄養関係の加算とは

改定の話をする前に、2021介護報酬改定前の介護報酬における栄養関連加算にいて解説します。

介護施設というと、入所や入居している方へのサービスを思い浮かべがちですが、「通所」も介護施設における重要なサービスです。

まずは、入所・入居系のサービスと通所系サービスでの加算を分けて説明します。

老健や特養に入所・入居している方に対する栄養関連加算

介護報酬改定2021より前の加算体系では「栄養マネジメント加算」が土台にあり、その上に各種加算が乗っているような体系でした。

栄養マネジメント加算は、その名前の通り栄養ケアマネジメントを行ったことに対する報酬です。施設に入っている方全員に算定可能です。

なお、施設ではショートステイを利用している方もいますが、ショートの人に対しては栄養ケアマネジメントを行っても報酬を算定できませんので、栄養ケアマネジメントは実施しません。

(もちろん、ショートできていて嚥下機能低下や食思不振の方をほおっておくということはしませんが)

この、栄養ケアマネジメントを全員に対して行うことが、栄養ケアすべてに対する土台であり、栄養マネジメント加算を算定していなければ、その上に乗っている加算も算定することはできません。

その上に載っている加算については、摂食嚥下機能が低下していて誤嚥している方や、入院後の再入所で、状態が低下している方、入所した日から低栄養リスクが「高」と判定される方などに管理栄養士が深く関わったときに算定できる加算です。

経口維持加算は、「摂食嚥下機能が低下していて誤嚥が認められる」方に対して支援を強化した場合に算定できる加算なのですが、6か月しか算定できない(継続する方法もありますが)や再入所時栄養連携加算は施設管理栄養士が病院にいかないといけないなど、制度として少し矛盾していたりハードルが高かったりする面もあります。

通所系サービスに対する栄養関連加算

次に、通所系サービスに対する加算です。

通所系サービスに対する加算は2つで、栄養スクリーニング加算と栄養改善加算です。

栄養スクリーニング加算は、介護職が栄養スクリーニングを行ってもよいので、実際管理栄養士が関わるのは栄養スクリーニングにて「中リスクまたは高リスク」に該当した利用者に対し介入する場合の、栄養改善加算です。管理栄養士が栄養ケア計画書を作成することで算定できます。

施設によっては栄養スクリーニング加算の算定のためのスクリーニングを管理栄養士が行っている場合もありますが、専門職が関わるにはあまりにも低い「1回5単位で半年に1回」しか算定することができないという加算となっています。

2021年介護報酬改定で入所・入居の栄養関連サービスはこう変わる

介護報酬改定2021で、入所・入居の方への栄養サービスを強化した場合の報酬が大幅に変更になりました。まずは、図で説明します。

これまで運用しづらかった部分が改善されているという部分もありますが、最も高く管理栄養士が評価さている点は、栄養ケアマネジメントが施設に義務付けられたこと、複数配置に対して報酬ができたことの2点だと私は考えています。

次に、各項目について詳しくお話しします。

老健や特養に入所・入居している方に対しては「栄養ケアマネジメント」が義務に

介護報酬では基本サービスというものがあり、基本報酬にまるめられているものがいくつかあります。代表的なのは、身体拘束廃止に向けての取り組みなどですね。

それと同じ「絶対にやらないといけないこと、やらなければ減算となること」に栄養ケアマネジメントが入りました。減額されるのは、1日14単位、ひとりあたり1月4,000円以上の減額ですから、かなり大きな金額になります。

現状、栄養マネジメント加算の算定率は9割を超えているのですが、介護保険サービスは良くも悪くも「算定しなければやらなくてもいい」という側面がありました。

少しブラックな言い方をすると、「加算をとらないのであれば、ごはんさえ出していれば栄養管理なんか別にしなくてもいいよ」ととらえることもできました。(とはいえ、そんな施設はそうそうないと思いますが)

これまで栄養ケアマネジメントを丁寧に行ってきた私たちの仕事が評価されたからこそ「全施設に義務付けられた」わけです。これは、とても大きなことだと思います。

栄養ケアマネジメントを「強化」した場合の評価が新設

管理栄養士を必要な数配置していて、アセスメントを正しく行い、食事環境を整えたり適切な補助食品を使用しているような「栄養マネジメント強化」をしている施設に対し報酬ができています。

具体的に、最低限の栄養ケアマネジメント以上に行わないといけない内容は、「中リスク以上の方を対象に週3日以上」「管理栄養士を50対1で配置する」「LIFE(データベース)への栄養情報の提供」「退所時の支援」等です。

これはちょっとした私の思いですが…

忙しい中で仕事をしていると、ついアセスメントシートを埋めることが仕事になってしまっている職場がないとは言えないでしょう。そういった仕事と、「適切な人員配置、適切な栄養ケアの提供、管理栄養士がこまめにミールラウンドを行う」ことが差別化されることを、本当にうれしく思っています。近隣施設との情報交換をしていると、施設によって栄養ケアの差があります。かなり。複数配置になって、管理栄養士が切磋琢磨しながら、良い栄養ケアを提供していける環境づくりの第一歩ですよね。

病院管理栄養士さんへ「栄養マネジメント強化加算」をとってる施設からは栄養情報がきます

栄養マネジメント強化加算の算定要件に、中リスク・高リスクと低栄養リスクが高い人が退所したときには、栄養情報を後続施設や家族様に提供し、退所支援を行うことが書かれています。

救急搬送後すぐに送付することは難しいかもしれませんが、施設からの救急搬送時、看護サマリーだけでなく、施設管理栄養士が書いた栄養情報提供書をみる機会が、これからどんどん増えてくると思いますよ!

Nさん
Nさん

加算うんぬんではなく、以前から私は結構おくってたんですよね。病院管理栄養士さん!私も送るから、戻ってくるときにはぜひ、病院の情報も返送してほしいよ~

経口維持加算の「期間限定」(6ヶ月)がなくなった

経口維持加算は、摂食嚥下機能障害がある利用者様に対し、複数の職種でミールラウンドや会議を行い、経口摂取に必要な計画(経口維持計画)を作成した場合に対し、算定できる加算です。

介護保険施設への入所は長期間で、半年経過したら摂食嚥下機能が回復して、食事に対して特別な配慮が必要なくなるということはほとんどないのですが、これまでの経口維持加算は6ヶ月限定でした。(継続する方法もありましたが)その期間の縛りがなくなりました。

Nさん
Nさん

6ヶ月で嚥下調整食が不要になることなんて、ほとんどないのに。なんで6ヶ月やねん…って思ってた管理栄養士は多かったと思います。

再入所時栄養連携加算の要件緩和と低栄養リスク改善加算の廃止

再入所時栄養連携加算は、施設から退所後、入院になって、新たに食事形態が嚥下調整食が必要になったり、経管栄養になったりした場合に、施設管理栄養士が病院のカンファレンスや栄養指導に同席したことで算定できる加算でした。

これのハードルの高さとして「病院に出向いて同席」することが難しいということがありましたが、zoomの使用などが認められることになっています。

また、低栄養リスク改善加算は、低栄養高リスクの方に対して重点的な栄養ケアを行ったことに対して算定できるものでしたが、栄養マネジメント強化加算で網羅できることであったため、廃止となっています。

Nさん
Nさん

病院さんにメリットがないため、なかなか頼みにくいことは変わらないのだけれど…。

2021年介護報酬改定で通所の栄養関連サービスはこう変わる

管理栄養士がデイサービス・通所リハビリなど「通所系サービス」でできることは、大幅に増えました!

第一に、管理栄養士が栄養スクリーニング・アセスメントをすることで月50単位を毎月算定できるようになります。

次に、栄養改善加算で「居宅を訪問する」ことができるようになります。

低栄養を「発見する」段階に管理栄養士が関われる

これまで、栄養スクリーニング加算という、半年に1回5単位、介護職(管理栄養士でもいいけど)が栄養スクリーニングを行って、ケアマネジャーに情報を共有すると算定できるという制度がありました。

これが、「栄養と口腔」がセットになって、半年に1回20単位に変わったというものもあるのですが、もっと大きなこととして「管理栄養士が栄養スクリーニング・アセスメントを行えば月50単位毎月算定できる」加算が増えました。これが栄養アセスメント加算です。

Nさん
Nさん

従来の栄養スクリーニング加算では、栄養スクリーニングを介護士がやってもOKなんて、少し管理栄養士に失礼じゃない…管理栄養士がかかわっても半年に1回5単位なんて栄養ナメられてる…?なんて個人的な思いもあったりしました。

栄養アセスメント加算の制度ができたことで、在宅で暮らしている多くの利用者様が管理栄養士と接点を持つことができます。「デイサービスや通所リハビリにいる管理栄養士は、主に入所者の栄養ケアしかしていない、近くに管理栄養士がいるのにほとんどかかわったことがない」なんていう施設も、現状は多いと思います。

これまで、大きな報酬がなかったため、管理栄養士がデイサービスにくる利用者とかかわるきっかけはあまりありなかったかもしれませんが、入口として50単位という少なくない加算がつきましたので、これからはどんどん施設管理栄養士が通所サービスとかかわっていくことになるでしょう。

Nさん
Nさん

この加算ができたことで、施設の管理栄養士が在宅分野に引っ張り出されたってことですね。

栄養改善加算で「居宅を訪問する」サービスができる

これまでも栄養改善加算はありましたが、デイでは1食しか食べないということもあり、施設管理栄養士が綿密な栄養ケア計画を立てることは難しかったという状況でした。

それが、報酬をアップし、「必要に応じて居宅を訪問する」ことが求められました。つまり、施設に勤務している管理栄養士が、訪問栄養指導をしている管理栄養士のように、居宅を訪問して、在宅での食事環境を含めて栄養管理をしていくことができるようになったのです。

在宅で生活している高齢者にとって、デイサービスや通所リハビリはとても身近なものでしょう。食事のことで困っていると、つい身近なケアマネや看護師、ヘルパーさんに相談しがちですが、とても身近なところに「食の専門家である管理栄養士がいる」ことが広まっていくであろう、素晴らしい制度ができたと思っています。

入所している利用者にも、通所している利用者にも充実した栄養ケアの提供を!

介護報酬改定2021は、管理栄養士界隈が盛り上がっていて、栄養士会も無料の勉強会を実施していますね。

施設に栄養マネジメント加算が創設されたとき以来、それ以上に管理栄養士にとっては大きな改定だといわれています。

ニュートリションケアさんも今月は「アツい」タイトルで高齢者分野の管理栄養士を応援してくれています!しっかり勉強して頑張っていきたいと思います(^^♪

今回の記事は、少し私の思いや考えを入れ込み過ぎた部分もありますが、他分野で働く管理栄養士さんに「2021年の介護報酬改定」が管理栄養士にとってどれだけアツい改定か伝わればうれしく思います。

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