栄養ケア計画書の作り方

介護施設業務

特別養護老人ホームや介護老人保健施設などの介護保険で運営されている施設に勤務している管理栄養士が作成しなければならない「栄養ケア計画書」。栄養ケア計画は、ほとんどの施設管理栄養士が作成している書類です。

今回の記事では、そろそろ経験年数2桁になりそうな、現役老健管理栄養士が、書き方を徹底解説していきます。TwitterID:minipekotaやってるから、分かりにくいところがあれば直接聞いてもらってもいいですよ

新人さんが読んだときに
・実地指導(監査)がいつ来ても怖くない栄養ケア計画書が作成できる
ようになるような内容です!

高齢者施設の管理栄養士として就職したけれど何から手を付けていいか分からない、栄養ケア計画書があることは知っているけれど書き方が分からない、という方は参考にしてくださいね。

栄養ケア計画書は、「栄養管理」のためと「介護保険制度」のために必要

栄養ケア計画書は、施設で行っている栄養ケア全般について記載する書類です。
老健、特養などの介護保険に基づく施設では「介護報酬」をいただくために必須の書類で、法令的な位置づけとしては「栄養マネジメント加算」を算定するための書類とも言えます。

介護関係の施設において、栄養マネジメント加算を算定しないということは、管理栄養士を置いている意味がないといえるほど、利用者へ栄養管理サービス行われていない上に施設の利益(金銭的な)にもならないということです。
(平成30年度の調査結果では、特別養護老人ホームで栄養マネジメント加算を算定していない施設は5.3%だったそうです。H30年のアンケート

利用者様へ適切な栄養管理を提供し、施設は栄養マネジメント加算で利益を得る、ということは、介護保険で運営されている施設に勤務する管理栄養士の義務のようなものです。そのため、管理栄養士は栄養ケア計画書を正しく作成しなくてはなりません。

Nさん
Nさん

毎日行っている栄養ケアが完璧でも、介護保険で決められたことを守れていなければ、実地指導(監査)で指摘され、施設は介護報酬を返還しなくてはならないことも…

栄養マネジメント加算算定の流れについては別途説明させていただきますので、この記事では栄養ケア計画書の書き方をマスターしてくださいね。

栄養ケア計画書に記載する内容

栄養ケア計画書記載する内容は、以下の通りです。

基本事項
利用者と家族の意向
解決すべき課題と低栄養リスク
短期目標と長期目標
ケアの内容
(利用者および家族の同意サイン)

学校を卒業してすぐの管理栄養士さんや新人さんはケアの内容をどうするかに注力しがちですが、これらは全て同列なくらい、重要な項目です。

基本事項

栄養ケア計画書には利用者の基本的な事項や入所日、計画作成を行った担当者を記入する必要があります。

・利用者氏名
・利用者の生年月日
・利用者の介護度
・計画作成者(担当管理栄養士)
・入所日
・計画作成日

は最低限計画書に必要な項目になりますので、栄養ケア計画書に必ず記載してください。特に介護度とか栄養ケアに関係あるの?とか思いがちですが、利用者様は介護保険を使用している方ですから必須です。

Nさん
Nさん

私も実務についてすぐは介護度記入するのめんどくさい、とか思っていましたが、介護保険を使っている利用者が必要としている介護の量は介護度によって違うので、介護度も超重要な情報ですよ。

利用者と家族の意向

栄養ケア計画書に限らず、ケアプラン(後で詳しく解説します)には必ず利用者と家族の意向を記入します。ご本人や家族様の意にそぐわない介護サービスは提供できませんからね。

この、利用者および家族の意向には、
「在宅復帰を目標とします」や「安楽な看取りを希望します」というようなその方のケア全般にかかわるような内容を記入しても良いですし、「●●年●月●日に牛乳が嫌いという意思表示がありました」という食事に対する意向を記入しても、実地指導上はOKです。

Nさん
Nさん

利用者様と管理栄養士がコミュニケーションをとっている場合は利用者様の意向を書けば良いです。利用者様とコミュニケーションがとれない場合は、ケアマネが作っているケアプランにある「利用者様および家族の意向」をコピペしてもOKですよ。

解決すべき課題と低栄養リスク

栄養ケア計画を作るときには、利用者の低栄養リスクを、「低栄養リスクが、高い、中くらい、低い」に分類しておかなくてはなりません。これは、介護保険制度で決まっています

このリスク分類は、栄養スクリーニングを行った結果によるものです。栄養スクリーニングは別途詳しく解説していきます。

栄養ケア計画書には、「低栄養リスク」を管理栄養士がどう判定したかを記入しなければなりません。そして、目標としては、低栄養リスクが低い状態を目指します。

例えばBMI17の利用者を中リスクと判定した場合、解決すべき課題と低栄養リスクには、「BMI17より、中リスクと判定、解決すべき課題はやせ」と記入しましょう。

長期目標

長期目標は、利用者が介護保険サービスを受けるにあたり目標をしていること、その中でも栄養に特化した目標を記入します。

例えば、褥瘡のある方であれば褥瘡の完治が目標でしょう、食事が食べられなくてBMI15しかない方であれば、やせ状態を改善することが目標でしょう。

このような最終的に低栄養リスクが低いと判定されるまでにクリアしておきたい内容が長期目標です。期間はおおよそ3~6カ月と設定しておくと良いと思います。

ちなみに、スクリーニングの結果、低栄養リスクが低いと判定された方の目標は「現状維持」で問題ないですよ。

Nさん
Nさん

私の老健では、栄養ケア計画を3カ月ごとに見直していますが、3カ月で退所される利用者様は少ないので、長期目標には、6カ月後にクリアしたい目標を記入しています。

短期目標

短期目標には、長期目標を叶えるにあたっての、前段階を記入しています。私は3カ月程度でクリアできそうな目標を短期目標として掲げていることが多いです。

例えば、褥瘡が発生していることによる高リスク、食事もあまりとれていない利用者様の場合は、「褥瘡完治」を長期目標(6カ月)に掲げます。そして、短期目標(3カ月)には「必要な栄養量を経口摂取していただく」と記入します。

そうすれば、この利用者さんは褥瘡治療という長期目標に向かうため、経口摂取で褥瘡改善のために必要な栄養を摂取すればよいという短期目標に向かうことができるということです。

ケースによって長期目標や短期目標は変わります。ここは、管理栄養士の腕の見せ所で、利用者が抱えている栄養課題をどうやって解決するのか、その計画をたてていきましょう。短期目標には、いますぐ解決したいことを掲げておくと良いでしょう。

もちろん、低栄養リスクが低いと判定されている方に対しては「現状維持」で問題ありませんよ。

ケアの内容

これまでで解説した内容を記載したら、いよいよ具体的なケアの内容の記載にすすみます。具体的にどういった栄養ケアを行っているかを記入する項目なので、ここが肝ですよ!以下の内容は必ず記載してください。

栄養補給方法と補給量…経口か経管か、必要なエネルギー量はどの程度か
食事の個別化…食事形態、嚥下コード、嗜好
栄養食事相談…その他食事についての課題
多職種における栄養ケア…管理栄養士以外が関わっている栄養ケアの内容

上記項目について網羅できていれば、概ね問題ありません。といっても、どういった表現を使えばいいか分からない方もいるでしょうから、次に例文を紹介します。

全員の栄養ケア計画書に記載している内容

まずは、全員の栄養ケア計画書に記載している内容をご紹介します。まるまるコピペしてもらってもかまいませんよ。ちなみに、()で記載している部分は担当者です。管理栄養士は栄養ケアに関するすべてを担えるわけではないので、担当する職種も記載しておきましょう。

・体重は月1回測定します。(看護師/介護士)
・食事摂取量は毎食記録を行います。(看護師/介護士)
・安全で適切な食事形態で提供します。(管理栄養士)
・定期的に、体重・摂取量を確認し、栄養管理を行います。(医師/管理栄養士)

上記の内容については、ほとんどすべてが当たり前に行われていることですが、栄養ケアの一環です。計画書には必ず明記しておきましょう。

Nさん
Nさん

特別な栄養ケアが必要ない、たとえばBMI23で食事は全部食べられるような利用者様の場合、栄養ケア計画書に書くことがない…なんて利用者様もいらっしゃるでしょうから、これらを埋めるだけでも…それっぽい計画書ができると思います。

個別の栄養ケアとして記載している内容

先ほどの内容は、全員に当てはまる内容だったので、私も全利用者様の計画書にコピペして入れ込んでいます。が、個別の栄養ケアも必ず行っているはずなので、個別の栄養ケアについても記載しましょう。

・食事形態 嚥下コード
・栄養補助食品と療養食
・食事の環境、自助食器を使用していれば自助具等

これらは個別の栄養ケアとして行っている内容なので、それぞれの利用者様の現状を記載します。

Nさん
Nさん

その他にも「体重の変動」や「アルブミン値の変動」、「最近様子が変わったこと」などがあれば記載しています。

利用者および家族の同意サイン

冒頭で栄養ケア計画書は栄養マネジメント加算算定のために必要な書類と述べました。栄養マネジメント加算を算定する要件として家族様(利用者本人でも良い場合もある)のサインをもらわなくてはなりません。

利用者および家族の同意を得た証拠として、同意日とサイン・続柄、を記入する項目が、栄養ケア計画書には必要です。

同意日は実地指導を受けるにあたり、とても大事な項目で、この「同意を得た日から加算を算定できる」ので、ここは必ず入れ込まなければなりません。

Nさん
Nさん

私は栄養ケア計画書単体で同意とサインをとっています。が、後で説明するケアマネの作るケアプランと一体化している場合のみ、この項目は必要ありません。

栄養ケア計画計画書のフォーマット

厚生労働はこちらの通り栄養ケア計画のフォーマットを公表しています。

初心者さんはこのフォーマットを使用すれば、監査でつっこまれにくいでしょう。

必ずその書式を使用しなければならないと義務付けられているわけではないため、先ほど説明した内容のものが記載できれば問題ないです。私は使いにくいなあと思うので、自分なりに使いやすい書式をアレンジして使っています。

ケアマネとの連携を!栄養ケア計画書はケアプランの一部

施設サービス計画(ケアプラン)とは、ケアマネが作成する、利用者の生活全般にかかわる書類を指します。そこには、利用者が受けているサービスのすべて(生活全般の介助、栄養、リハビリ、口腔ケアなど)がまとまっています。

食事箋で食事を指示する医師、食事介助をする介護士、姿勢を評価する理学療法士、給食を作る調理師などの連携が必要となり、あくまでも管理栄養士がそれらをまとめて栄養ケア計画書としているように、ケアマネは多職種の行っているサービスのすべてを管理しています。

そのため、根幹となるケアプランを作成しているケアマネと連携をとらなくては、いい栄養ケア計画書は作成できませんし、そもそもケアプランと大きくかけ離れた栄養ケア計画というものは、存在してはならないのです。

栄養ケアは管理栄養士が中心となって提供するものですが、「介護サービス全般」はケアマネが采配を行いますので、栄養ケア計画だけ浮いているということは、ありえません。

そのため、ケアマネが作成しているケアプランに、先ほどから紹介した項目を盛り込める場合、栄養ケア計画書を単独で作る必要はありません。

Nさん
Nさん

私の見解としては、ケアプランには栄養ケア以外の内容がたくさん書かれていて、ケアプランに栄養ケアのすべてをまとめることは難しいと思っているので、私の施設では栄養ケア計画書は独立しています。うちのケアマネは、「適切な栄養ケアを行う(管理栄養士が作成する栄養ケア計画に基づく)」とケアプランに記入しておられます。

ケアマネとの連携がとれていない一例

実際に私が経験したケアマネを連携がとれていないケアプランと栄養ケア計画の一例を紹介します。

利用者Aさんのケアプランの目標:在宅復帰
管理栄養士の栄養ケア計画の目標:嚥下不良のためコード1jソフト菜とコード3の離水に配慮した粥の提供を行い、安全に食事を食べていただいて栄養補給を行う。

一見、何も問題もないケアプランと栄養ケア計画に見えます。

しかし、この方が在宅復帰をしようとしたとき、「在宅でこの嚥下食を利用者に食べていただけるのか?」という視点がこのケアプランおよび栄養ケア計画にはないことが読み取れます。

在宅復帰という目標を達成するためには、配食サービスで嚥下食に対応するのか?家族が手作りするのか?ヘルパーを使うのか?リハビリ(ST)に食事形態をアップできるようなリハビリ計画を依頼するのか?等たくさんの方法が考えられます。

施設の中だけで完結するものではないのですが、本人と家族の意向、在宅復帰を可能にするためにクリアにしておかなければならないことが解決される計画書が理想的です。

※これは少し難しい話です。初心者はスルーしてもOK。一例としてこういう課題もあるんだなあくらいに思っておいてください。

最後に

栄養ケア計画書作成のポイントは次の4つです。

  1. 介護関係の施設で採用された管理栄養士が作成しなければならない書類
  2. 栄養ケア全般について記入する
  3. 栄養マネジメント加算算定のために「家族の同意」を得なければならない
  4. ケアマネと連携して(できれば他の職種も)作成する

栄養ケア計画・栄養ケアプランがなければ利用者様の栄養ケアは始まらないといっても過言ではありません。ぜひ、中身が充実していて、実地指導でも指導されない栄養ケア計画書を作成できるようになってくださいね。

分かりにくいなあ…って部分があったら、Twitterから直接質問していただいてもOKです!また、ベテランさんはこれも追加しておけ~って項目があれば、ぜひ教えてくださいね。

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