2018年の医療と介護の報酬が同時改定となった際に新設された、再入所時栄養連携加算。すでにとっている施設もあると思いますが、結構ハードルが高いですよね。
今回の記事では、私が再入所に栄養連携加算を算定するにあたり行っている業務について、お話します。
再入所時栄養連携加算とは、簡単にいうと……
先月入院になったAさん、再入所決まったよ~。なんか、一口大食べてたのにソフト食になってるんだって。
じゃあ病院に出向いて詳細聞いてきますね
こういう加算です。
再入所時栄養連携加算についての概要
再入所時栄養連携加算は、施設に入所している利用者(1回目の入所を一次入所)が病院に入院し、再度施設に入所(二次入所)となった場合に1回あたり400単位を算定できます。
再入所時栄養連携加算を算定できる条件
再入所時栄養連携加算を算定できる条件は次の通りです。
✔ 医療機関で「新たに」経管栄養または嚥下調整食が必要となった場合
✔ 施設管理栄養士が病院で行われるカンファレンスや栄養指導に立ち会った場合
施設では普通食(嚥下調整食でない)を食べていた利用者様が、経管栄養や嚥下調整食が必要となった場合に、施設管理栄養士と病院管理栄養士が連携をとり、より充実した栄養ケア計画を作成することに対する報酬です。
再入所時栄養連携加算を算定する業務の流れ
再入所時栄養連携加算を算定する場合の業務の流れは次の通りです。
①再入所の情報をキャッチする
施設では入所判定をしている人(職種や部署は施設によりけり。看護部長?地域連携?相談員?など)から再入所の情報をキャッチします。
そして、その利用者様の栄養補給ルートが経口から経管になっていないか、施設では不要であった嚥下調整食が新たに必要になっていないかの2点を確認します。
②病院管理栄養士に連絡を取る
再入所は、普通の入所と異なり、即日入所が決まるようなケースもありますので、再入所時栄養連携加算を算定できる対象者がいた場合、すぐに病院管理栄養士へ連絡をします。近々栄養指導をする予定がないか、伺ってもよいものなのか、先方との打ち合わせが必須です。
介護施設側には再入所時栄養連携加算を算定できるためメリットがありますが、病院側には何の報酬も入りません。つまり病院管理栄養士が応じなければならないという規定はないのです。そのため、病院管理栄養士さんと連携をとるための人脈がなければ、ここのハードルをクリアできない、というケースもあるでしょう。大きな法人で、急性期、回復期、老健など、横の連携がとりやすいと良いのですが…。
なお、栄養指導に同席することと介護保険の解釈には書いてありますが、「栄養指導」を病院が加算を算定するかしないかは別の話。何をもって栄養指導とするのか?ということで、私は病院の管理栄養士、利用者様、私、が同席できる環境を作ってもらえるように依頼をかけて算定しています。
③病院へ行った記録を作成
病院で確認した内容については必ず記録を行いましょう。
自分が栄養ケア計画を作成する際に必要な情報収集をした、という記録です。
フォーマットは決まっていないので、使いやすい書式を作成しましょう。
④ 栄養ケア計画書を作成し、家族の同意を得る
再入所時栄養連携加算を算定する旨は家族の同意を得なければなりません。
栄養ケア計画の同意と一緒にとれるよう、作成する初回栄養ケア計画書に同意欄を作成しておくとよいでしょう。
栄養ケア計画書が分からない方は、栄養マネジメント加算の算定方法や栄養ケア計画書の作り方から見直してくださいね。
再入所時栄養連携加算は、算定するためのハードルが高く実用的ではない
再入所時に栄養士の連携がとれると、栄養情報が後続施設に正確に伝わるため、非常に良いシステムです。しかし、病院側に報酬がないため、忙しい病院管理栄養士に応じてもらうことが難しいケースも多いでしょう。
実際、私も友人レベルで交流のある近隣病院の管理栄養士にお願いして、2回ほど算定さていただいたことがあるだけです……。
病院側・施設側ともに栄養士の負担を減らすために、もう少し単位数は小さくてもいいため、書面や電話でのやりとりだけで完結できるほうが、実用的だなと思います……。
さいごに
再入所時栄養連携加算は、施設を利用していた方が医療機関に入院し、新たに経管栄養や嚥下調整食が必要となった場合に算定できます。
算定要件を満たすには、病院側も協力が必要であるため、なかなかハードルが高いと思われます。
最近は病院が栄養情報提供をすれば加算がとれるというシステムになってきているので、栄養情報を出した側が報酬をとれるシステムに切り替えをしていくほうが、実用的なのではないかなと思うばかりです。
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