厨房を業者に委託している高齢者施設において、管理栄養士は1名しか配置がない、というのはよく聞く話。というか当たり前の話。
そのため、多くの施設では「経験者の管理栄養士」を求めています。が、中には未経験でも採用しますという求人があり、そういう施設に就職を決める新人管理栄養士さんもたくさんおられますね。
しかし、
高齢者を支える仕事がしたくて、未経験だけど特養に転職が決まりました!でも、前任者は退職していて引継ぎは一切ありません、私、何をしたらいいんだろう…。
という悩みを抱えている人も多いはず。
今回の記事では、「社会経験が豊富ではない管理栄養士さんが、ひとり配置の現場に就職した際に、まず確認したい3つのこと」をお話します。
その1:組織図を理解する
入職したら、まず、組織図を確認してください。組織図を確認するということは、「自分の上司は誰か、仕事を行う上での指示命令系統はどうなっているか」を確認するということです。
管理栄養士は1人でも、介護部の責任者が上司になっていたり、事務長が上司になっていたりします。もちろん、トップは施設長。
専門職なので、栄養業務については自分が責任をもって行わなければなりませんが、組織に所属するということは、その組織の上長に従いながら業務を遂行するということです。
上司は仕事を指示する人物であり、ミスをしたときに、一緒に責任を取ってくれる人。栄養業務に理解のある素敵な上司と組めればうれしいですよね。
まずは、自分の所属はどこなのか、直属の上司は誰なのかをハッキリさせておきましょう。
組織がしっかりしていたら、下記のようにトラブルも防ぐことができるのです。
ちょっと栄養士さん!暇なんでしょ?窓口業務やってくんない?請求事務手伝ってくれない?消耗品発注してくれない?車運転できる?送迎手伝ってくんない?
あ・・ちょっとよく分からないので上司に確認します。
Aさん…ちょっとうちの部下に指示しないでもらえます?新人栄養士さんの仕事は●●と●●です!頼み事は上長を通してくださいよ。
繰り返しますが、組織において、その組織図の中でどのような指示命令系統で業務を行うかということは、組織の根幹にかかわります。ここが崩れると組織は大混乱に。
なので、入職したら、自分の上司(上長)は誰なのか、自分はどの部署に所属するのかを確認しましょう。
その2:どんな給食が出ているのか確認する
栄養業務では、まずはじめに施設の給食の内容を確認しましょう。前任者が退職していても、給食は出ているわけですから、委託している場合は委託さん、直営の場合は調理員さんから情報収集を行い、食事箋規約には必ず目を通します。
前任者が作っている食事箋規約をチェック!
①食種ごとの栄養量
②食事形態(とくに嚥下食は名称とコードを確認!)
③配膳方法と配膳時間
④使用している栄養補助食品
施設の給食は食事箋規約に基づいて提供されます。食事箋規約とは、施設の給食についての基準を定めたものです。もちろん、管理栄養士が単体で作っていいものではないので、前任者は施設長(医師)などと共同してこれを作っているはず。
なので、まずは食事箋規約を探して、一通り目を通しましょう。
次に、実際に提供されている食事を確認しましょう。特に嚥下調整食は施設によって名称が異なります。A病院ではゼリー食と呼んでいる食事形態がB特養ではミキサー食、なんてことも。学会分類の嚥下コードを使用する流れになってきていますが、まだまだ現場では有効活用できていない施設も多いです。さらに、コード2-1のミキサー食でも、とろみのつき具合は施設によって異なることもあります。
自分の施設の給食はどんなものか?これを知らなければ栄養管理を行うことができません。前任者の作った規定や今の給食が自分の理想とかけ離れていることもあるでしょう。でも、現状を変える前に、現状を理解することが大切です。
その3:これまで算定してきた加算の確認を行う
施設で算定している加算と、それに必要な業務の確認を行いましょう。
栄養マネジメント加算はほとんどの介護施設で算定していると思います。
が、その他の経口維持加算や低栄養リスク改善加算、通所での栄養スクリーニング加算や栄養改善加算を算定していた場合、やらなければならない業務は膨大になります。
中身のある栄養管理を行うことが私たちの使命です…が、同時に「書類をしっかり作ること」も重要です。
直属の上司または、請求事務を行っている人に
栄養士が関わる加算は何を算定していますか?
と聞いてみてください。加算は施設にとって「売上」になるものなので、事務系の方は丁寧に教えてくれると思いますよ。
次に、介護報酬の解釈、という大きい青い本を読みましょう。ここに、加算算定にあたり行わなければならない業務が書いてあります。
介護報酬の解釈は法令の文章みたいに言い回し分かりにくい部分もあります。何回も繰り返し読んでくださいね…。頑張って!
最後に
せっかく管理栄養士として転職が決まったのに、前任者がいない、引きつぎがない、などスタートで躓いてしまったら…結構つらいもの。
でも、上司は誰か、どんな給食が出ているのか、どんな加算を算定しているのか、1つ1つクリアにしていけば、自ずとやらなければならない業務は整理されていきます。
管理栄養士はひとり配置でも、あなたはひとりじゃありません。違う職種の方たちと協力して、大きく力強い一歩を踏み出しましょう!
私が行っているルーティン業務の流れもご紹介していますので、よろしければ参考にしてくださいね。
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