2020年10月2日に、行事食についての記事をアップしました。この記事では、暦の上の行事食と、行事食が給食に適さない場合の工夫などを解説しています。
前回の記事は1月から3月を解説したので、今回の記事では4月から6月の行事食についてお話します。
4月から6月は、暦通りの行事食が少ない時期ですが、少しでもお食事を楽しんでいただくために、色々な献立提案ができるようになると良いですね。
4月の行事食
4月は、暦の上の行事食としてメジャーなものはありません。
お花見行事に向けて行楽弁当風の給食にしたり、仏教系の施設では灌仏会(かんぶつえ・お釈迦様の誕生日)の行事をしたりすることが多いと思います。
4月の行事食献立:8日灌仏会・花まつり(甘茶)
4月8日はお釈迦様の誕生日です。お釈迦様の誕生日のお祝いを灌仏会または花まつりといいます。甘茶はガクアジサイの変種である「アマチャの葉」を発酵させて作られた茶葉で作ったお茶で、ほんのり甘い味がします。抽出時間を長くしすぎると苦みが強くなるので注意が必要です。
4月は花まつりという行事食がありますが、甘茶を給食で提供することは一般的ではなく、少し宗教色が強い行事でもあるため、4月はお花見弁当に見立てた春らしいお食事を提供することで、行事食とする施設が多いのではないでしょうか。
4月のその他祝日など
4月の祝日は、次の通りです。
特に食事と関連が深い祝日ではありませんが、4月は29日に昭和天皇の誕生日があります。4月は行事がない月でもありますので、お花見弁当などの行事食を行わない場合は、4月29日にお赤飯を提供しても良いですね。
5月の行事食
5月の暦の上の行事食は次の通りです。
5月の行事食:5月5日こどもの日(柏餅・ちまき)
柏餅
柏餅は、丸型のこしあんをお餅で包んだものを、さらに柏の葉で包んだ和菓子です。
柏の葉は、「新芽が出てから古い葉が落ちる」という性質があることを「子(孫)が生まれてから親(孫の祖父母)が亡くなる、家系が途絶えない」ということに見立てて、5月5日は、子供の成長をお祝いするとともに家の繁栄を願って食べられてきました。
ちまき
ちまきは、もち米やうるち米、米粉などで作ったお餅を、笹の葉で巻いて三角形にし、蒸して食べるものです。ちまきは中国から伝わっており、中国では、中国の詩人である屈原(5月5日が命日)の供養のために食べられていました。日本では5月5日が子どもの日であることから、5月5日の食べ物=ちまき=子供の日の行事食、と姿を変えていったようです。
5月5日:給食での行事食の提案
子供の日の行事食である柏餅とちまきですが、両方とも高齢者が多い施設や病院給食には向いていません。柏餅は、かしわもちの形をした冷凍のおまんじゅうや練切などが販売されるため、それを柏餅風まんじゅうとして提供する施設が多いのではないでしょうか。
子供の日の行事食として、私がおすすめているのは、お子様ランチプレートです。大皿に、オムライスかチキンライス、コロッケ、エビフライ、ハンバーグなどを少しずつ載せてお子様ランチに見立てて作ります。高齢者向けの豪華なお食事といえば、和食やお寿司のイメージが強い人もいるかもしれませんが、洋食メニューも大好きな高齢者が多いです。
お子様ランチは、私の勤務先ではとても人気の行事食の1つですよ。
5月のその他祝日など
5月のその他の祝日は2つです。
私としては、食事とはあまり関連がない祝日であり、こども日とも近いため、あまり食事を豪華にする必要はない日かなと考えています。
6月の行事食
6月は暦の上のメジャーな行事食はありません。
祝日もない月なので、お食事のイベントを行うことは少し難しい季節ですね。
また、夏至にはたこを食べる風習がある地域もあるようですが、給食では提供しづらい食材なので、提供が難しいです。
毎月何か行事食を企画しているような施設であれば、カラフルなゼリーをアジサイに見立てて作るあじさいゼリーを提供している施設が多いのではないでしょか。
毎月絶対に行事食を提供したいという強いこだわりや、利用者さんやクライアント(委託の場合)との決まり事がないのであれば、6月は行事食をお休みしてもいいかもしれませんね。
翌月の7月は七夕そうめん・丑の日のうなぎなど、コストも人員の必要な行事が待っていますよ。私個人としては、行事食のない日を作って、行事を豪華にするために予算のやりくりをするような月があっても良いのではないかなあと思います。(ただし、短期のご利用が多い施設では不平等になってしまうのであまりおすすめしません。)
続きは次回へ
4月から6月は、暦通りに実施したい行事食の数は少な目です。
回数が少ないからこそ、1回に力を注いだり、予算や人員を他の月で使えるように材料費や人件費を節約する月に回したりしても良いかもしれませんね。
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