栄養士業界の新人教育:スキルアップは自分でしないといけない?

人間関係
Nさん
Nさん

管理栄養士歴10年になりましたNさんです。栄養士業界って、人を育てない業界だなと思うことが多いので、今回の記事を書きました。

私は給食会社に就職し、「たまたま」良い先輩と出会ったので、最初の1年は給食管理について教えてもらうことができました。が、この業界は、本当に人を育てない業界だなと思います。

私を教えてくれた先輩も、中途入社で入ってきて1年経っていない先輩でしたが、素敵なお人柄とパワーのある先輩だったので、私は運が良かったんだと思います。

そして、私の「栄養管理」は教科書とセミナー、現場でやってみて試行錯誤して覚えたようなものです。

私は、栄養士として委託・直営・病院・施設と色々な職場に行きましたが、仕事を教えてもらえない新人さんをたくさん見てきました。

教育環境が良くないと思う瞬間

・突然現場に放り込まれて放置される

・作業の「理由」を伝えず、単純に指示をする

・新入職員を医師や看護師、病棟に紹介しない

・先輩も「指導されていない」から指導方法が分からない

大手の給食会社や大きな病院、または良質な人間関係が構築されている職場であればこのようなことは少ないと思うのですが、ぎりぎりの人数で回している職場では、こういったことも多々あります。

今回は、

この記事のテーマ

新人を育てない職場ってどんなところ?

なんで新人を育てないのか?

育ててもらえないならどうすれば良いの?

という内容についてお話します。

新人を育てない職場ってどういうこと?

栄養士という業界は、「新人を育てない職場」がたくさんあります。

普通の会社であれば、新入社員は一定期間研修を受けます。ドクターは色々な科を周りますし、ナースにはプリセプター(その新人専門の指導員)がつくものです。

しかし、栄養士業界は、そもそも人数が少ないため、2名の職場の1名が新人、といった場合に、あとの1名に指導という仕事が重くのしかかるというケースが多いのです。

給食会社であれば、このマンパワーが少ないことによる指導不足を少し解消することができるのですが、人数の少ない現場に配属されてしまうと、そのスケールメリットを享受することも難しいでしょう。

他にも、栄養士業界が人を育てない原因としては…

栄養士業界が人を育てない原因

・現場の仕事は調理補助のパートさんに教わることがある
・女性が多く先輩の家庭の事情で残業できないから教育に時間を使えない
・給食の現場はとにかく目の前の配膳時間に間に合えばいい
・人数が少ないため組織(上司・部下)という概念が薄い

などが考えられます。

その結果、とりあえず就職したものの、「現場でとりあえず作業をすることから始める」が「作業はできるがその理由はよく分からない」という状態に陥りがちです。

先輩も「新人を育てるほどの役職」じゃない

先ほど看護師であればプリセプターという制度があるといいました。これは、新人ナースには1年ミッチリと先輩(3年目くらい)をつけて1対1で教育をさせるという方法です。しかし、栄養士はどうでしょうか?

栄養科が管理栄養士を採用する場合、4名の栄養科に1名が配属されます。そのうちの1名を新人につきっきりにすることなんて、まあまずできません。そんな余裕のある人員配置になっていないからです。

次に、看護師であれば、新人(1年目)、プリセプターという関係性以外にも、病棟には副主任、主任、副師長、師長、そしてトップには看護部長、と多くの人数がいて、それぞれに役職があります。

つまり、1名の新人がミスをしたときに、その指導にあたるべき役職の人が多いのです。

しかし、栄養科はどうでしょうか。4人しかいない栄養科で、科長、主任、平1名、新人、という組織になっていればまだ良いのでしょうが、「科長とその他」というような配置になっている場合、「平社員に後輩を教育する義務」を負わすことはどうなのかな?と思います。

新人教育や組織のマネジメントをする場合、その仕事に対する「手当」いわゆる役職手当が支給されるべきです。しかし、栄養科の場合は人数が少ないことから、この「組織や役職」が構築されていないことがあります。

平社員の先輩からみたら、新人教育?知らないよ、私は私の仕事があるんで。という気持ちになるでしょう。また、私たち10年選手も、あまり教育を受けてきていないので、「自分で調べてね、頑張って」というスタンスで「きかれたら答える」という対応をしてしまいがちです。

能動的にやってきた人が勝ち残っている業界であるため、受動的な後輩のことを放置してしまう傾向にあると思います。

Nさん
Nさん

私も病院に転職した際、「作業をぶつ切りで教えられる」ためどうしたらいいのか分かりませんでした。自分で点を線にして覚えていったようなものです。今はその職場に配置されていませんが、もし戻ったらちゃんと後輩に教えてあげることができるか……ちょっと自信はないですね。

介護系は「ひとり配置が当たり前」なんです

次に、老健や特養などの介護系の管理栄養士は、ひとり配置であることが多いです。新卒だろうが中堅だろうがベテランだろうが、それは変わりません。

ひとり配置ということは、先輩も後輩もいません。煩わしい人間関係で悩むこともありません。しかし、基本的に「誰かの仕事を見て学ぶ」機会もなければ「習得したことを誰かに伝える」機会もありません。

よって、介護施設の管理栄養士の仕事は、なかなか継承されにくいものです。この傾向は、病院より強いのではないでしょうか。

複数の管理栄養士が配置されている病院であれば、「丁寧に教えてもらえなくても先輩の仕事をみることができる」だけまだマシといえるかもしれません。

Nさん
Nさん

私はこのブログで自分のお仕事についてお話して、少しでも自分が習得したことを、新人さんに伝えることができればいいな……と思っています。こういった情報も、あまり整理して外に出てくることがないなと思います。

栄養士は自分で学んでいくしかない…?スキルアップはどうしたらいい?

残念ながら、今の栄養士業界は自分で学んでいくしかないという現状があります。

それが良い悪いという議論は別として、とりあえず現状は「自分で学ぶ力」を身に付けることができない栄養士さんは、なかなかスキルアップをしていくことができないといえるでしょう。

職場の教育や研修環境が整うことを待つよりも、自分で本やセミナーに行くことでスキルアップをしていく方が、早く成長をすることができます。

栄養士であってもどんな仕事でもコミュニケーション能力が大切

どんな仕事であっても、「社会人としてのコミュニケーション能力」は大切です。社会に出ると嫌な人、先輩、上司などもいますが、その壁にぶち当たるたびに仕事を変えていては、社会生活を営んでいくことができません。

社会人に必要なコミュニケーション能力とは?

・人の話は最後までしっかり聞く
・話を聞くときは頷いたり相づちをいれる
・自分の話したいことを正しく相手に伝える
・相手に興味や関心があるという姿勢をみせる
・好印象を与える清潔感のある身だしなみ

これらは、社会人であれば最低限身に付けておきたいことです。相手の話をしっかりと聞くこと、不快感を与えない身だしなみであること、自分の気持ちを「誤解なく」相手に伝えること、はどんな仕事をしていても重要なので、ぜひ覚えておきましょう。

あと、唐突に質問をするのではなく、「枕詞」がひとつあるだけで、その人の印象は大きく変わります。

社会人として正しい語彙力がありますか?

コミュニケーション能力と並んで大切なことに、「語彙力」があります。

例えば、次のようなやり取りは先輩に対して失礼な言葉遣いになっているということが分かりますか?

先輩栄養士
先輩栄養士

新人ちゃん、14時30分までに夕食の食札の準備をしておいてね

新人ちゃん
新人ちゃん

了解です!

「了解」という言葉は、本来目上の人に使う言葉ではありません。日ごろ顔を合わせるような関係の先輩に対してであれば「分かりました」で良いでしょう。もっと目上の人に対しては「かしこまりました」が正解です。

この新人さんは元気よく返事をしているので感じが悪い新人さんではないでしょうが、「損をしている」のは事実。

目上の人やビジネス上の取引相手、先輩などには友人や「部活の先輩」に使うような言葉遣いをしてはいけません。

これは私が20代後半の頃に「語彙力がなくて恥ずかしいな」と思って購入した本です。少し前の本ですが、今もAmazonでベストセラー1位を獲得している良書。

語彙力が増えると教養を感じさせることができますし、大人として礼儀正しいコミュニケーションをとることができます。

適切な言葉を使えるということは、仕事だけでなく「人間力をアップ」させてくれるため、どんな世代の人にもおすすめしたい1冊ですね。

栄養の知識はセミナーや「メーカー営業」から学べる

栄養の知識はセミナーやメーカー営業、先輩のカルテなどから学びましょう。

①栄養士会に入って研修会に参加する

②メーカーが案内してくれる勉強会に参加する

③時間があるときは先輩のカルテを読む

④書籍を購入して勉強する

まず、栄養士会は研修会を実施しているので、栄養士会に入っている人はそこで行われている研修会に参加しましょう。会費を払っているのであれば、勉強会に参加しないと損ですよ。

就職して意外と役立っているのが「メーカー営業担当者のくれる情報」です。栄養補助食品のメーカーは自社の製品を売り込むだけでなく、病院や施設の管理栄養士がほしいと思っている情報提供をしてくれたり、セミナーを開催してくれたりしています。

・クリニコ
・ニュートリー
・明治
・大塚製薬
・フードケア

このあたりの業者さんと取引がある場合は、営業さんに連絡をとってみると、勉強になる案内をくれることがありますよ。

また、私は病院に就職してすぐのときは、先輩が書いている栄養管理計画書やカルテに書いている栄養ケアの内容を読むようにしていました。どういう患者さんにどういう栄養療法をしているのか、先輩が精いっぱいやっている仕事から学ぶことができるためです。また、栄養指導を見学させてもらうというのも勉強になるでしょう。

その他にも栄養の知識をつけるためには、書籍での勉強も有効です。私は時々こちらの雑誌を購読しています。

「栄養で治療」をしているのではなく「栄養でケアをしている」職場の管理栄養士におすすめの本です。老健・特養・療養型の栄養士は必読の雑誌ですね。

さいごに:栄養士のスキルアップは自力でするしかない…?

管理栄養士、栄養士、給食の業界はあまり教育体制が充実しているとは言えません。

理由は色々あると思いますが、これはいい傾向ではないと言い切れます。

現職で管理栄養士をしている、30代、40代は当たり前のように自分で勉強してきた世代でもあるため、今の世代に合った教育方法を構築できていない、管理栄養士の配置人数が少ない、などが原因と考えられます。

Nさん
Nさん

もし、今自分が置かれている環境が「十分に教育を受けることができる環境」であっても、なくても、自分のスキルを自力で磨いていく力を身に付けておいて、損はありません。

ぜひ、今回の記事を参考に、スキルアップに励んでみてくださいね。

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