栄養補助食品の利用者負担に対して思うこと。

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栄養ケアマネジメント

今日は少し普段と違う論調で。

食思不振の方に対して提供している栄養補助食品を個人負担にしている施設があるということに対する少し嫌味なことをツイートをしたことがある。

ツイートに対していろいろな意見をもらい、管理栄養士という同業者ですら「個人負担を仕方がない」としていることに非常に驚いた。普段交流させていただいている管理栄養士さん以外からも、先日のツイートに対して、DMにて家族負担でなければ提供できない施設や栄養士を批判しないでほしいというお言葉をいただいたが、それならば後半に問いかける疑問にどう回答するのか。

さて、今から書く文章を「栄養補助食品を利用者負担とされている家族」が見てくれるのであれば、すぐに自治体へ連絡をいれてほしい。栄養管理上必要な栄養補助食品やトロミ剤を施設が負担せず、個人に請求しているのであれば、それは是正されなければならないのだから。

ただし、施設としては「ジュースタイプの栄養補助食品」は用意しているがその甘い味が苦手で飲むことができないため、「甘くないもの」を「本人の嗜好で」使用している場合や、そもそも「栄養剤(エンシュアなど)」が処方されている場合は除外した批判であると考えてほしい。ここでいう栄養補助食品とは、「食思不振のため、食事から必要エネルギー量の半分しか摂取できない利用者や、嚥下不良によりミキサー食全量摂取が困難な利用者につける栄養補助食品」としている。例えば「ハーフ食+メイバランスmini」のように、「補助食品を含めて食事として成立している」場合のことだ。計画上、1500kcalの摂取が必要ではあるが現実的にそれをミキサー食で摂取することが難しいため、600kcalはメイバランス、900kcalは食事で、という対応で使用するメイバランスを指している。

低栄養や褥瘡の「予防」のため、つまり「より良いケアのため」であれば施設が負担する義務はないだろう。なお、エンシュアリキッドは250cc×0.54円=135円。卸価格(定価ではない)でメイバランスを納品する方がはるかに安価である場合は、医師・看護師・薬剤師・事務員とも価格を共有しておきたい。

色々思うところがあり、情報を調べてみると、インターネット上の料金表に栄養補助食品やトロミ剤を個人負担とするという記載をしている法人が複数あった。少なくとも私が社会に出た2010年ごろには、既に施設負担にしなければならないということが当たり前の認識であったため、古い情報を公開しているのか?と疑問を持ったが、どうやらそういうわけでもないらしい。

何度も繰り返すが、施設において医師や管理栄養士等が「栄養ケア計画上必要と認めたもの」は、利用者に負担してはならない。その根拠となる文書を2つ紹介しよう。

厚生労働省「平成17年10月改定関係Q&A」より

(問91)基本となる食事にプラスして、特別な食事(+Znや+Caな
どの食品)を提供した場合、患者個人から費用を徴収してもよいか。
(答) いわゆるサプリメントについては、特別な食事として提供されることは基 本的には想定されない。各施設の責任において、基本となる食事の中でこう した栄養の提供も含めた適切な食事を提供されたい。

東京都「入所者等から支払を受けることができる利用料等について」より

次の費用は食事の提供に係る費用に含まれるものであり、別途徴収するこ
とはできない。
(1)栄養補助食品
(2)おやつ(個人の嗜好によるものを除く。)
(3)とろみ剤

つまり、栄養補助食品がなければ栄養摂取ができない利用者に対して使用する栄養補助食品は別途代金を徴収してはならないというのは国や県が見解を発表している。もちろんこれは東京都の例であり、全ての自治体が文書を出しているわけではないが、問い合わせを行えば、「利用者負担にしてください」と回答する自治体は、まずないだろう。

どうしても利用者負担にする場合「栄養ケアマネジメントに基づかない必要性のない栄養補助食品として、利用者および家族の選択と同意の上の提供」という抜け道で栄養補助食品を利用者負担にする「事務的な言い訳」はできる。もし、これを逆手にとって利用者負担にしているのであれば、極めて卑怯な手法である。もし、このような被害にあっている人がいるならば、ぜひ、都道府県に相談をしてほしい案件だ。家族の無知をいいことに、1個200円の補助食品を1日2個使用した場合、本来施設が負担するべき費用を一万円以上負担させられているのだから。

何より、これを放置している管理栄養士がいることは残念極まりない。「家族から別途費用を徴収しなければ栄養ケア計画が立てられない」という状況をどうして受け入れているのか。家族が負担しなければ利用者に対して「栄養ケアを提供していない管理栄養士」になってしまう。栄養ケア計画とは、SOAPに基づいて計画を作成し、そのプランをPDCAしていくものである。そのDo(実行)の部分を家族の資金力に依存するのはいかがなものか。同業者として情けない。事務所員のせい、経営サイドのせいで終わらせても良いものなのか。

栄養補助食品からの栄養摂取が生命活動に欠かせないのであれば、それを提供することは施設の義務だ。そういった管理栄養士は家族が負担を拒否した場合、自施設は「給食だけで利用者の適切な栄養管理ができる環境が整っている」と考えているのか?それならば、始めから補助食品には頼らないか?どちらにせよ生命維持に必須である「食事」を「食費以外に徴収して家族に負担させている」現状はどう考えても「卑劣極まりない」。

繰り返し問いかけたいが「給食だけで利用者の適切な栄養管理ができる環境が整っていると考えているのか?」。

「普通の食材」だけで作るミキサー食1500kcal/日。では、アナタは1日3回ミキサー粥300gを食べることを何年も繰り返すことができるのか。できないとなった場合向かう先は「餓死」しかない施設。ほんとうにそれでいいのか。少なくとも私は、そうはさせたくない。

Nさん
Nさん

何度も言いますが、エンシュアが処方されているとか、コンクやMCTを使って現実的に食べられる量のミキサー食が出ているとか、そういった場合は別ですよ。

コメント

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