転職するからには、今よりいい職場にいきたい。やりたい仕事ができるなら、少し位しんどくても頑張れそうだけど、ブラックな職場だけは嫌だなあ……。
せっかく今の職場を辞めて、新しい職場で頑張ろうと決意しているのですから、「厳しさはあってもブラックは嫌」と思う人がほとんどですよね。しかし、栄養士の働く職場には、ブラックな職場がたくさんあります。
もし、アナタが面接や転職慣れしていないと、ブラックな職場を見抜くことは難しいかもしれません。
しかし、ポイントを抑えておけば、ブラックな施設や会社を見抜くことは可能です。
今回の記事では、転職歴3回、いずれも最初の職場以外は全てホワイトな転職をしている私から、ブラック企業の見分け方をレクチャーしたいと思います。
栄養士の求人票からブラック職場を見抜く
ブラックな職場かどうかは、最終的に面接や施設見学で判断することになりますが、求人票の段階で見抜くことも可能です。
まずは、「ヤバい求人票」の特徴を抑えておきましょう。
給料のふり幅が大きい求人
求人表でまず最初に注目したいのが、「給料」です。時々、【15万~30万】というような求人を見ることがあります。
経験年数が十分でなく、管理栄養士以外の資格(NST専門療法士など)を持っていない管理栄養士を月給30万円で雇うようなところはありません。
実際に月給が30万円で働いている栄養士もいますが、そういった栄養士は、給食会社で大きな現場の責任者を任されていたり、栄養科の主任や科長をしているような、実績と経験のある人物です。
よって、採用の段階で、「雇い入れ時に払うことはないであろう給与」を掲載している求人は、ブラックな可能性が高いでしょう。期待感を煽るために「定年までしっかり働いて、役職があつ人の給与」を掲載することは、悪質な求人といえます。
もちろん、求める経験に「栄養科責任者経験や後輩指導経験あり、病院経験10年以上、NST経験5年以上」といったハイクラスなことが書かれている場合はこれには該当しないと思いますが、その場合は、【15万~30万】と下に大きく誤解されるような求人を打つべきではありません。
採用したい人材の「経験と給与」を正しく反映していない求人票には気を付けましょう。
極端に給料が安い求人(病院や施設に多い)
病院や施設の管理栄養士、特に厨房に入らず、栄養管理だけを行える求人は人気です。そのため、給与を高く設定しなくても、応募があることが多く、採用側もそれを経験則として知っています。
そのため「管理栄養士を安く買いたたく」ような悪い施設や病院もあるのです。
こういった求人は、自分がもらえる給与が低いだけでなく、その施設や病院の管理栄養士の地位も非常に低いというケースがあります。
私が委託から引き抜かれそうになったブラック病院では、給与(額面)18万、ボーナスなし、昇給なし、でした。委託時代にもらっている給与の話をしたら「栄養士でそんなにもらってるのね」と鼻で笑われた経験も……。そこは、明らかに管理栄養士への当たりがキツイ職場でした。
休みが極端に少ない求人……日給換算したらどうなる?
一見、給与が良く見える求人票でも、休日日数が少ない場合があります。これも、要注意です。
特に、土曜日が午前のみ出勤となっている求人。年間休日80日台というものもありますので、気をつけましょう。
委託の場合「委託栄養士のやりがい」が書けない求人は危険
給食会社の求人に「NSTや栄養指導」という文言を入れてアピールしているときは、要注意です。実際にはNSTに参加することはありませんし、栄養指導も行いません。
もちろん「NSTを行う病院管理栄養士様のサポートを行います」程度の記載であれば問題ないでしょう。
しかし、「栄養管理を担えるようかのような表記」には注意してください。
また、「利用者様からの「おいしい」の一言がやりがいです」も要注意です。実際に利用者様の声を拾う人は「施設や病院雇用の管理栄養士」が中心。それが中心業務になるような、そこにしかやりがいを見いだせないような求人票も危険だと思って良いでしょう。
「委託栄養士が実際にやる仕事」に対するやりがいを正しくアピールできない会社は、「委託栄養士の栄養士としてのやりがい」を会社が分かっていないということですよ。
会社のホームページからブラック職場を見抜く
会社や施設、病院のホームページからもブラックなところを見抜くことができます。
奇麗な言葉を並べてばかりのアピールには注意
求人サイトやホームページに奇麗な言葉ばかりを載せている法人には注意が必要です。
例えば
のような文言です。
こういったことを「少し書くこと」には問題ありません。
しかし、アピールポイントがない法人ほど、「書く内容がないため奇麗な言葉の羅列」をしてしまう傾向にあります。
このような記載が一切なく、理想論ばかり掲げている法人には注意してください。
こういった職場は、休日の研修やサービス残業、法令違反も「気持ちで乗り切れ」ということをしてしまいがちです。
栄養士をやっている以上、責任やプライドをもって働くほうが良いですが、「福祉の精神で1日3食365日の食事提供に自己犠牲は当たり前」と言われたら、どう思いますか?
実際の面接でブラック職場を見抜く
ブラックな職場は、面接で見抜くことができます。この2点に当てはまったら、間違いなくブラックな職場といえるでしょう。
この3点について詳しくお話していきます。
面接官が威圧的で圧迫面接をする
最近は新卒採用でも減ってきている圧迫面接。これを、転職活動をしている立派な社会人に対して行うような会社はブラックといえます。
本来、面接とは、病院・施設側と応募者の双方が、お互い話し合って、入職するかどうかを決める場です。採用する側も、応募が殺到して、最後の1名まで絞って内定を出したとしても、その人が内定を辞退することがあるという認識を持っていなければなりません。
つまり、面接では、採用する側・される側の双方の関係はフェアなのです。
ましてや、応募者は外部の人、いわば「お客様」です。応募者に対して威圧的な態度をとる面接官と、一緒に働きたいですか?
待遇の説明を極端に嫌がる
待遇の説明を避けるような場合も危険です。あまりにも条件ばかり聞くような態度では、仕事に対するやる気があるのか?と思われるでしょうが、あくまでも「仕事は生活の一部」。給与や勤務時間、休みの日数、福利厚生などは、人の人生を大きく変える重要事項です。
それを正しく説明できないような法人は、何かやましいことをしていると判断して良いでしょう。
働いている人の表情が暗い、挨拶がない
施設見学をしている際に、「働いている人の挨拶がない」「表情が暗い」場合も注意が必要です。挨拶はコミュニケーションの基本で、外部から来訪している人に対して挨拶ができないということは、人間関係が良好でないか、正しい接遇教育がされていないかのどちらかです。
実際に現場を見て感じ取った情報、自分の感覚も大切にしてください。
最後に:ブラックな栄養士求人に気を付けて!
今回は、ブラックな栄養士求人の特徴についてお話しました。職場の空気感は、実際に入ってみなければ具体的なことは分からないものですが、少なくとも「法令違反やモラルのない職場」は面接までの間で見抜くことができます。
特に、一番最後に書いた面接や施設見学に行った際の「自分の直感」は当たるものです。
求人票を眺めてばかりでは、転職活動は前に進みませんが、事前に色々な情報を収集して、良いと思った職場には、実際に足を運び、自分に合いそうか見極めていきましょう。
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