管理栄養士のお給料は低いです。はっきりいいます。安いです。栄養士の給料は安いです。
世間一般の無資格で働いている人たちの多くよりも低いです。
管理栄養士と同じく大卒じゃなくてもとれる看護師よりも、学校に行かなくても取得できる介護福祉士よりも低いのが相場です。
私はかねてから、ブログで管理栄養士とお給料のお話はしたいと思っていました。少しずつお役立ち記事を書いてきたところで、お給料について思うことを、お話します。
前半部分は数字の話、後半部分は完全に自論。賛否両論あると思いますが、思うところをお話します。
給食会社の新卒管理栄養士時代の給料
私が新卒で給食会社の就職した時代。それは、給食会社が現場を獲得するために、とにかく安く!価格競争をしていた時代でした。
そのため、大卒の管理栄養士といえど、そのお給料は驚くほど安かったのを覚えています。
私が就職した20××年の給食会社管理栄養士、新卒で残業代無しの場合月給は次の通りです。
基本給 | 155,000 |
管理栄養士手当 | 30,000 |
非課税通勤費 | 15,220 |
総支給合計 | 200,220(交通費抜きで185,000) |
ボーナスは、年2回10万円が支給されていました。
年収ベースで、おおよそ240万円(交通費残業なし)。これが、私が一番最初に就職した就職先で頂いたお給料です。年間休日は105日。多いとはいえない休日日数ですが、この業界では特別少ない休日数ではありません。
今は給食会社のお給料もそこまで安くないみたい…
私はよくTwitter界隈でいろいろな栄養士さんとお話させていただくのですが、現在は給食会社で責任者クラスになると、残業代を含まずとも400万円程度もらえているという声もあります。
冒頭で説明した通り、私が就職した約10年前は、働き方改革という言葉はない時代で、給食会社が最もブラックだった時代といえるでしょう。
給食会社が複数乱立し、どこもかしこも、営業は価格競争をして、とにかく現場数を増やしているような状況でした。
私は現在、施設側管理栄養士をしているので、給食会社の入札にも関わる立場ですが、かつてブラックと有名であった給食会社も、現在は見積をそこまで低く持ってくることはありません。
自分が給食会社に身を置いていたときと比較すると、非常に高い見積書をよく見かけるため、営業担当に聞いてみると、
今は人がこないから、既存の赤字現場を撤退したり、安く新規現場を獲得したりはできるだけしないようにしています。
というような回答をする業者様が多いです。
また、見積を依頼しても、人手不足を理由に、見積書をご提示いただけない会社も増えています。
昨今は労働者の権利を守ることが当たり前という風潮になってきているため、無茶はしない会社が増えているのでしょう。
これまでは「当たり前の労働環境を当たり前に作ってこなかった」給食業界。これからの進歩に期待です。
2020年現在の元職場、給食会社新卒給与は?
この記事を書くにあたり、元職場の新卒採用求人を確認したところ、大卒管理栄養士の給料は20万円になっていました。
求人票に嘘は書かない会社ですが、私の古巣に今就職すると、新卒の大卒管理の年収は約260万円(交通費・残業無し)となるでしょう。
給食会社で20連勤とブラック労働をした月の給料
私が入社した給食会社はとてつもないブラック企業でした。
残業代払わないんだったら、明日から出勤しないから!!!!
と言わなければ、まず、残業代が満額出ることはありませんでした。
給食会社時代は、人手不足で首切りに合うわけないし、辞めさせられてもいいや、くらいの気持ちで働いていたので、私は残業代を満額もらっていました。
今思うと、なんでもっと早く辞めなかったのか不思議な環境ですが、私の就職した給食会社はとにかくブラック企業だったのです。
しかも、残業代の支払いも最低賃金ベースで計算するという意味の分からない会社でした。普通は基本給と資格手当から時給換算して1.25倍するのが当たり前なのですが、当時の私は無知だったので、まだ残業代が出てるだけマシというよく分からない思考回路で働いていたのです。
次に紹介するのは、私が委託で20連勤を行い、月56時間の残業をした際のお給料です。
基本給 | 150,000 |
管理栄養士手当 | 30,000 |
休日出勤手当 | 7200×5=36,000 |
残業代 | 892×56=49,952 |
非課税通勤費 | 15,220 |
合計 | 281,172(交通費抜きで265,952) |
ちなみにこのとき、現場は赤字だったのでボーナスは1桁でした。この労働を12カ月したとして、年収312万円、ボーナスが1桁だったのでおおよそ320万円。月の休みが3日程度しかとれない、年間休日36日ペースで働いてこのお給料。とてつもないブラック企業での低賃金ぶりが垣間見えます。
直営有料老人ホーム給食責任者時代の給料
次の職場は年間休日110日、直営給食の責任者をしていました。有料老人ホームなので、厨房業務が中心です。
私は残業をしないことをモットーにしていたので、残業無しで次のようなお給料をいただいていました。
基本給 | 195,000 |
管理栄養士手当 | 5,000 |
責任者手当 | 15,000 |
交通費 | 33,500 |
総支給額 | 248,500(交通費抜きで215,000) |
ちなみに、こちらの施設では、年間4か月分のボーナスが支給されていました。(2カ月のボーナスが年2回)
そのため、年収では336万円程度頂いていました。
実際には、少し残業をしてしまう月があったので、年収は340万円程度もらえていましたね。
委託がブラックだったので、栄養士はボーナスをもらえないものと思い込んでいましたが、直営に転職して、ボーナスをしっかりもらえたことが、年収アップの要因です。
ブラックな委託給食会社は年間休日105日で、有給は消化できない、残業まみれ、という環境でしたが、こちらの施設は110日で有給もしっかりとれていたので、待遇はかなり良く成りました。
老健管理栄養士の給料は?
私は現在、介護老人保健施設で厨房は委託という環境で働いています。
現在、私が頂いている月給は次の通りです。
基本給 | 205,000 |
管理栄養士手当 | 10,000 |
交通費 | 0 |
合計 | 215,000 |
現在の法人も、ボーナスは年間約4カ月もらえます。ボーナス込みで年収はおおよそ340万円。(交通費は家から近すぎて支給対象外なのでもらっていません。)
先ほどの直営有料老人ホームのときより、経験年数を詰んでいる割に昇給していませんが、当法人は非常にホワイトです。
また、業績にあわせて、毎年3,000円~5,000円は月給が昇給するようなので、年齢を重ねていくともっともらえるようになる見込みがあるので、管理栄養士として働くのであれば、あまり不満はありません。
ちなみに、私の地域には老健が1つしかない、ど田舎です。ど田舎で女性が残業無しに年収340万円安定して稼げるって、そんなに悪くないと思っています。しかもほぼ事務職並みのホワイト環境。体力使う仕事は全くないです。
そもそも私はお給料が安いことは分かった上で働いている
私は、管理栄養士として働くのであれば、年収は300万円程度しかもらえないのが当たり前だと思って働いているため、今の給与を、仕事に対する対価と考えた場合に不満はもっていません。
管理栄養士のお給料が低いことはよく話題になりますが、管理栄養士が稼いでくることができる介護報酬や診療報酬を考えれば、それは当たり前のこと。
患者様や利用者様から頂ける食費のことを考えれば、給食会社で働く栄養士の給料が安いことも仕方がないのです。
管理栄養士の中でもとても優秀な一握りの人間(管理職とか大学病院所属)になれなければ、高給はもらえません。
薬剤師や看護師のように、そのへんに転がっている求人をつかんで、年収400万や500万がもらえる職業ではないのです。そもそも。
これは私の自論でしかないけれど、生活のために働く将来を見据えて進学すると考えている高校生に対して、管理栄養士には絶対になるな、といいますよ。生活のために働いても、潤わないです。
仕事を「できるだけ高給をもらうためのもの」と位置付けるのであれば、管理栄養士である自分をできるだけ高く買ってくれる職場へ転職する、管理栄養士の地位をあげる、なども考えられます。が、進学するときに薬学部に進学していたら?医学部に進学していたら?そもそも給与で悩むことはないでしょう。
悪いのは誰か?それは社会じゃない。18歳のときにそこまで見据えて進路選択をしなかった自分。大卒新卒カードを、一流企業に対して使わなかった21、2歳の自分。
だらだら管理栄養士を続けながら割に合わないというなら、他の仕事を見つけるしかないんですよね。または、ちょっと副業にチャレンジしてみるとか。
私は自分のお給料を世間一般と比較し、「安い」と考えています。しかし、私がしている仕事の対価として考えた場合に「妥当または結構もらっている」と感じていますよ。
ただ、私は340万円の年収ではちょっと贅沢しきれないので、副業とか投資とか色々やってます。この辺りは、また別の記事で詳しくお話しますね。
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